歌舞伎町のホストクラブに高額請求で被害…新宿区長自主規制を要請/山田記者解説
地域・まち - 2023年11月17日 20時00分
歌舞伎町のホストクラブをめぐる高額請求の被害に、自治体も対策に乗り出しました。高額な料金を支払うために女子高校生が売春をするなど被害の実態が明らかになる中、新宿区の吉住区長が緊急会見を開いて店側に自主規制を求めると発表しました。
約300軒のホストクラブが営業する新宿歌舞伎町…。この街でホストクラブ「ARCANA」を経営していた男が、風営法違反の疑いできょう(17日)逮捕されました。警視庁によりますと堤一彰容疑者37歳は今年3月、当時17歳の女子高校生を18歳未満と知りながら入店させ、酒を提供した疑いがもたれています。女子高校生はSNSを通じてこの店のホストと知り合い、「ナンバーワンになるために前の力が必要だ」などと言われ、5月までの約2カ月間店に通っていたということです。この間、女子高校生は請求された170万円の料金を支払うため、売春をして稼いでいたとみられています。堤容疑者は調べに対し、「17歳とは知らなかった」と容疑を否認しています。
ホストクラブをめぐる高額請求の被害が多発する中、新宿区はきょう(17日)、臨時の記者会見を開き、対策を発表しました。
新宿区吉住区長:「問題となっている売掛金制度の自主規制を求めていきたいと思います。現在、ホストクラブ経営者と自主規制の業界ルールを作るべく話し合いを始めています」
新宿区が自主規制を求める方針を示した「売掛金制度」はホストや店が客の料金を肩代わりし、客に後払いさせるシステムで、高額な請求によるトラブルの一因とみられています。また区は今後、高額請求に関する窓口を設置し、区民だけでなく区内でトラブルに遭った全国の人が相談できる体制を整える方針です。
新宿区吉住区長:「自分が儲けたり、お金を集めるために他人を不幸にしていいなんてことを、この町の商売のルールにしてほしくない。それを強くこの町で働く人にお伝えしたい」
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ここからは取材を続けている山田記者と伝えていきます。歌舞伎町のホストクラブをめぐる被害の現状はどうなっているんでしょうか?
きょう(17日)の会見にも出席していた、歌舞伎町で20年以上にわたり若者の支援を続ける玄さんにお話を伺ったんですが、
わずか4か月で200件のトラブルの相談があり、「過去20年間でも異常な状態」だと表現しています。そして問題が多く起きてしまう理由としては大きく2つあるということなんです。
まずは去年、施行された成人年齢の引き下げです。未成年のトラブルは法律で守ることができますが、成人年齢の引下げによって現在では18歳・19歳といった若い女性客が巻き込まれるケースが相次いでいるということなんです。
また2つ目のポイントとして新型コロナの感染が落ち着き、歌舞伎町の界隈ではホストクラブなど男性従業員が女性を接客する店舗が急増したことも要因のようです。
そしてコロナ禍で自宅などでの利用が増えたSNSやオンラインでの発信をホスト側が多く行うようになったことで、若い女性にとってホストクラブがより身近なものになったことも問題が深刻化している一因だと玄さんは指摘しています。
Q:確かにSNSなどホストクラブが身近になったと実感します。
そうしたことでトラブルが増えていて私が取材をしている間も玄さんの元には相談の電話が相次ぐなど事態の大きさを改めて感じました。そして深刻な被害を生む最も大きな要因が新宿区も対策に乗り出した「売掛金」の制度です。
玄さん:「1回目が3000円から33万円になっても「まだ払える 30万円 まだ貯金崩したり親から借りて払える」「4カ月で(売掛金が)600万円超えた子 半年で900万円、1000万円」「一生懸命彼氏のためだったら何でもしますよね」「ホストは体で払えばと匂わす女の子も体で稼げると思っている実際体で稼げているから」「稼いで40万円、60万円払っても、その晩に70万円使ってしまう返しているが減らない」
ホスト側が本当の恋人のような接客で女性客の心を掴み、持ち合わせのお金が無い客に対しても、売り上げが欲しい一心で「一旦、肩代わりして売り掛けさせる」といった流れができあがっているというのです。女性客としてはまるで恋人のような感覚の ”推しのホスト”の頼みを断ることができず請求金額が多額になってしまうトラブルが多発しています。
玄さんはこうした売掛金を禁止する条例や法律の制定を国や新宿区にも求めていますが、法律の壁やホストクラブ側からの反発もあり難しい状況となっているのが現状のようです。ただ、現に若い女性を中心にトラブルが後を絶ちませんので、一刻も早い具体的な対策が必要だと取材を通して感じました。