TOKYO MXの報道記者が注目したニュースを深堀りして解説する特集企画「ツイセキシャ」。今回お伝えするのは東京都が初めて取り組む「陸上養殖」についてです。
日本の水産業は異常気象や後継者不足など多くの課題に直面しています。その現状と東京都の取り組みを取材しました。
全国屈指の水揚げ量を誇る千葉県の銚子漁港…活気あふれる漁港には朝からたくさんの水産物が運ばれてきます。しかし…私たちの食卓を支える日本の水産業は近年、縮小傾向にあります。
(卸売業者)
「少ない、激減ですよ」「ともかく魚関係みんな少ないな、大変ですよ魚屋さんは」
農林水産省によりますと、日本の漁獲量や養殖業の生産量は年々減少し続けていて、最も多かった1984年と比べると3割程度にまで減少しています。その原因の1つと指摘されているのが…海水温の上昇です。
(卸売業者)
「水温だっぺね、潮の関係、水温の変動、変動でみんな沖へいったり灘へ行ったりしてんじゃないのかな」
(漁師)
「夏だと25度とか、高い時で27度くらいになるんですよ海が夏、そのせいで今まで磯の中についてたものがいなくなっちゃったのかな、住みづらくなっちゃってんじゃないのかな」
気象庁のデータによりますと日本近海における夏の海面水温は、およそ25年前と比べると30度近い水温を表すピンク色の部分がかなり広がっていることが分かります。
また水産庁は、海だけでなく川や湖でも気候変動による渇水や濁流などの影響で魚たちの生育環境が脅かされていると指摘しています。こうした課題を解決しようと東京都とNTT東日本が連携して始めたのが…「陸上養殖」です。
取り組みが進むのは「完全閉鎖型」と呼ばれる陸上養殖で、川や海の水を一切使わずに同じ水を循環させて行うものです。現在は研究用としてサケを養殖していますが、新年度からは福生市で商業化を見据えたヤマメの養殖を始める予定で、完全閉鎖型の陸上養殖は都内初の取り組みだということです。川や海がない地域でも魚を飼育できるため、事業として成り立てば、「環境に依存しない安定した生産」が可能になります。
(都の担当者)
「漁業養殖業っていうのは自然に大きく依存した産業だと思いますけれども、閉鎖型陸上養殖といいますと人為的に環境をコントロールできますので、近年の気候変動などにも影響されずに、安定的に生産ができる。今後の水産業の振興に繋げていければという思いで今回の取り組みを始めております」
さらに、NTT東日本の情報通信技術を活用することで、水質環境や魚の状況を遠隔で確認できるため、高齢者などにも管理が容易で、担い手不足の解消にもつながるということです。メリットも多い陸上養殖ですが、課題となっているのがコスト面です…。
(都の担当者)
「水温を維持したり環境をコントロールしたりっていうことでコストも当然にかかりますので、これに見合うだけの生産性の高い技術であったりとか、単価の高い魚を養殖していくことが求められております」
特にコストのかかる電気代を減らすため今後は、飼育期間を短縮する技術開発などを進め、安定した供給に向けたシステムの構築を目指しています。