八丈島で待望の漁業再開も…支援求める声「元の生活に戻りたい」
地域・まち - 2025年11月11日 21時00分
台風被害から1カ月が経過した東京・伊豆諸島の八丈島で11月11日から漁業が再開しました。神湊漁港では朝から鮮度を保つための氷を準備する姿が見られました。
地元の漁船にとっては台風の被害以来となる待望の漁となり、午後にはキンメダイなどが水揚げされました。漁港関係者からは「再開の滑り出しとしては順調といえるが、あいにくの天候で漁に出た船は少なかった」という声が聞かれました。
この日は漁に行くことを諦めたという40年以上にわたって漁業を営む山本直さんは、手放しで漁業再開を喜べないといいます。山本さんは「1カ月半は丸々、何もやっていない。結局200万、300万円はみんな損していると思う」とした上で「金は本当に欲しい。助成金でもいいので、手当をくれればそれで助かる」と現状を話しました。
土砂災害が起き避難所に土砂や樹木が流れ込んだ末吉地区では、10月31日から一部で通行止めが解除となりました。避難所となった施設の外では、重機で土砂などを回収する作業が始まっています。しかし施設の中にはいまだ、腰の高さほどまで固まった土砂が残っています。関係者によりますと、台風被害から1カ月たったいまも、このエリアの復旧の見通しは立っていないということです。
この施設のすぐ隣のゲートボール場では、地面をならして整備を行う高齢者の姿がありました。末吉地区に住む堺敏幸さん(74)によると、土砂による被害の恐れから、現在このゲートボール場は利用中止になっているということです。しかし「日常の風景」を取り戻したいという思いからいつ再開できてもいいように、堺さんはゲートボール場の整備をしていると話します。堺さんは「ここも全部ヘドロがかぶった」と話しつつ「普通の生活に戻れればいいじゃないかと思っている。畑を持っている人は畑作業をやっているが、われわれのように持っていない人はこういうことしかやることがないから」と語り「早くきれいになって、あとは元の生活に戻りたい」と話しました。