台風被害の八丈島で…太鼓の力強い響き戻る「復活の音を」 八丈太鼓の練習再開
地域・まち - 2025年11月14日 21時00分
台風被害のあった東京・伊豆諸島の八丈島に力強い太鼓の響きが戻りました。島の伝統芸能「八丈太鼓」の練習が再開されました。
島内外のイベントで八丈太鼓を演奏する同好会・八太鼓打会(はたこうかい)は11月14日、台風被害以来初めての練習を行いました。この同好会では住宅被害を受けた島民などへの配慮のため、大きな音が鳴る太鼓の演奏を1カ月ほど自粛していました。
2人が向かい合い全身を使って演奏するのが特徴の八丈太鼓の1カ月ぶりの練習に、メンバーは自然と力が入り、思わず「太ももがきつい」といった声も漏れました。
ただ、再開に向け課題もあります。これまで使用していた練習場は台風で大きな被害を受け、本来、太鼓の練習が行われていた会場は天井が崩れ落ちて雨漏りし、床は水浸しになって畳も取り除かれている状態です。また、壁はカビが生えてしまっています。こうした状況のため、再開初日となったこの日は新しい会場を借りて試験的に少人数で練習を再開し、今後は1週間に1度のペースで練習を行うということです。
台風によって途絶えた“鼓動”の復活に向けて、同好会の菊池卓代表は「町の復旧を終えていないのに活動を再開してもよいのか」と葛藤があったと話します。菊池さんは「音って心に響くんですよね、心に響くものがある。太鼓の音は八丈になくてはならないものだが、精神的に安定しない状態が続く中、なくてはならないものが“嫌なこと”になるのは避けたいという思いがあった」といいます。
それでも「島の日常を取り戻したい」という思いから練習を再開しました。菊池さんは「復興の兆しが出てきている。ここでみんなに太鼓の音を聴いてもらい、復活を思って、今から音を鳴らしていくべきなのかなと。太鼓の音を聴き『太鼓やってるじゃん。頑張っていこうよ』という気持ちになってもらえれば」と話しています。