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八丈島・台風被害から3カ月 スーパー休業で“高齢者の買い物”に課題

地域・まち - 2026年1月22日 21時00分
去年=2025年10月に台風22号・23号が相次ぎ、東京・伊豆諸島の八丈島は甚大な被害を受けました。台風被害から3カ月が経過してもなお、特に大きな被害を受けた島の南東部・末吉地区では現在も生活に大きな影響が続いていて、高齢者の買い物が課題となっています。

特に深刻な被害を受けた末吉地区では、台風によって発生した大量の土砂と木が現在も山積みになった状態で、台風の爪痕が色濃く残っています。その影響は住民の暮らしにも及んでいます。長年、住民の生活を支えてきた地域で唯一となるスーパーは台風で壁が剥がれ雨漏りも発生したことから、営業を続けることは困難となりました。

末吉地区に住む浜谷さんはこれまでほぼ毎日この店を利用してきましたが、その習慣も台風によって大きく変わりました。浜谷さんは「(店が休業で)寂しい。末吉地区はこの店があるだけで結構助かっていたのだが…」と顔を曇らせ「わざわざガソリン代を使って、坂下(別のスーパーのある地域)まで行って買い物をして帰ってくる。(スーパーのある地域までは)ここから車で15分以上かかる」と話します。

末吉地区は人口およそ200人のうち、その大半を高齢者が占めています。車の運転が難しい高齢者は島内の知り合いに買い物を頼らざるを得ないといいます。

こうした現状から支援に立ち上がったのが、浜谷さんも車で通う末吉地区の2つ隣の地域にあるスーパーを営む伊勢崎さんです。伊勢崎さんは「末吉地区の商店が休業になり、地元の人から移動販売的なことができないかと話があった」といいます。

伊勢崎さんは末吉地区の住民からの要望を受け、12月から週に1度、車で商品を運ぶ移動販売を始めました。販売しているのは野菜や肉、パンなどの食料品です。ただ、現状の一部にとどまる食品の販売だけでは島民のニーズに十分応え切れないと話します。伊勢崎さんは「何か(欲しい商品が)なかった時に、もう1週間待ってもらわないといけない。結局、お客さんの期待に応え切れていないもどかしさはすごくある」と語ります。

より手厚い支援を続けるため、大型の移動販売車の購入を模索する一方で、伊勢崎さん自身の店も台風の被害を受け、資金は厳しい状況にありました。伊勢崎さんは「(台風の時には)4日間停電が続いて、全部、冷蔵庫・冷凍庫の温度が上がってしまい、食品を全て廃棄しなければならなくなったのが一番大きな被害だった」と振り返ります。その被害総額は数百万円に上ります。

そこで移動販売車の購入などにかかる費用の一部を賄うため、クラウドファンディングを始めました。伊勢崎さんは「応援してくれる声が多くて。とてもうれしいのと責任も重大だなと。自分の力でできないことを皆さまの協力で成し遂げたい。(末吉地区の住民に)喜んでもらいたい」と話します。

被災から3カ月となる中、島内外での「共助」が続きます。

<高齢化進む末吉地区 移動手段確保も課題>

八丈町は、北部の役場や空港のある中心地で島民からは通称「坂下」と呼ばれている地域と、南部の山に囲まれ標高の高い「坂上」と呼ばれる地域に分かれています。今回取材した末吉地区は「坂上」に位置していて、エリア唯一のスーパーが被災したため、車で15分ほどかかる「坂下」の樫立地区にある伊勢崎さんが営むスーパーに買い物に行かなければならない状況が続いています。町の中心部へも車でおよそ30分ほどの距離があり、高齢化が進む末吉地区の住民たちにとっては移動手段の確保も課題となっています。

八丈町の2025年12月時点の人口は6674人で、末吉地区はそのうちの3%に当たる215人です。八丈町全体の高齢化率はおよそ40%と高いのですが、八丈町によりますと末吉地区の住民は大半が高齢者という状況です。

<末吉地区にカフェがオープン 地域交流の場に>

地域外への移動に苦労する人も多い末吉地区に去年=2025年12月にカフェがオープンし、地域の新たな交流拠点となっています。

八丈島の末吉地区ではスーパーや交流施設などが台風の被害を受け、休業状態になっています。住民たちの日常の接点が失われつつある中、12月、1つのカフェがオープンしました。

カフェを営むのは、末吉地区出身で町議でもある浅沼さんです。浅沼さんは「気軽にみんなで集まってお茶する場所が欲しいというのは、ずっと声として聞いていた」と話し、1杯ずつ丁寧にドリップしたコーヒーなどを提供しています。

台風発生当時、避難所の運営に関わった浅沼さんは“顔の見える関係”があってこそ、災害時にも支え合えることを実感したといいます。浅沼さんは「台風被害からどう生きていけるかの一つに、コミュニケーションが絶対必要だと思っている。そうした場に少しずつ育っていくような、コーヒーを飲みに来るというより、ここに集まっておしゃべりできるような場所にしたい」と語ります。

取材したこの日は末吉地区の住民のほか、隣の地域の住民も訪れていました。隣の地域の住民からは「雰囲気がいいので。末吉の人とも触れ合えるし」「普段なかなかここまで来られる人はいないので。ここがあることで(末吉地区に来る)理由になりますからね」といった声も聞かれました。

末吉地区に希望の明かりをともせるような場所にしたいと名付けた店名は「カフェ・ライトハウス」です。

浅沼さんはこの場所から地域の魅力を伝え、交流の輪を広げていきたいとしています。浅沼さんは「末吉地区の一番の魅力は、地域で生きている感じがすごく色濃く残っていて、心配して炭を持ってきてくれたり、カブツ(八丈島特産のかんきつ類)を持ってきてくれて、こうしてみんなで僕の店を助けようとしてくれているのも『末吉愛』を感じる」と話します。そして「末吉ってこんなすてきな町なんだというのを、みんなに伝えていけたら」と話しています。

<東京都義援金は3月に送金予定 「ふるさと納税」活用したものも>

復旧・復興が進められている八丈町に対し、東京都の義援金は1月末で募集が終了し、3月中に送金を予定しているということです。また、ふるさと納税を使った「代理寄付」を行っている長野県御代田町では3月末まで寄付を受け付けているということです。「ふるさと納税」を活用した寄付金は去年10月の開始から現在までに合わせておよそ1600万円が寄せられているということです。

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