次世代の食を支える「AI」「代替フード」 課題を乗り越え安定供給へ…市場規模拡大で世界が注目

ビジネス - 2026年3月16日 21時00分
世界的な人口増加や気候変動によって食料を巡る環境が大きく揺らぐ中、次世代の食を支える存在として期待される代替食品が進化を続けています。

3月10日から13日の4日間にわたって千葉県の幕張メッセで開催された展示会には世界およそ80の国と地域から3200を超える企業が参加し、販路拡大に向けた商談や展示が行われました。世界から集まった食料品は3万品以上に及びます。食のトレンドが一堂に会するこのアジア最大級の展示会の会場では、今年世界でも注目されているトレンド『スイーシー』の展示も行われていました。スイート(甘い)とスパイシー(辛い)を掛け合わせた言葉で、甘さが広がった後に徐々に辛さが感じられるというもので、くせになりそうな味覚として話題を集めていました。

この食の見本市は1976年から毎年開催されていて、今年は飲食業界で大きな課題となっている人手不足の解決に向けたエリアが初めて設けられました。そこで提案されていたのが「AIの導入」です。AI導入を開発している企業の担当者は「コスト削減、人手不足で人が集まらないとか、朝から晩まで検査となると疲れてしまって検査のムラや品質のばらつきが出てしまう。AIの導入でそこが解決できると思う」と提案します。AIは食品の個体差などを瞬時に見極めることができる上に、人間のように判断基準がぶれることなく作業を続けられるため、検品作業などの効率アップにつながるということです。

また、食料資源の安定供給が世界各地で課題となる中、進化を続けているのが代替フードです。

こんにゃく粉でできた「サーモンの代替品」は食感はこんにゃくに近いですが、臭みも全くなく食べやすい食品です。TOKYO MX『堀潤Live Junction』の坪北奈津美キャスターは「“新しい食事”としてありだと思う」と感想を語りました。

また、こんにゃく粉やココナツなど100%植物性原料で作られたヨーグルトは、ココナツの香りが鼻から抜けて、おいしさが広がります。乳製品を使っていないということで、あっさりしていて食べやすい食感です。

主催者側も、担当者が「例えばたんぱく源として非常に有効だったり、より身近に日常の中に代替食が広まってきたと、トレンドとして感じている。気候変動や原材料の供給難の一つの解決として、日本でも今後広がっていく市場だと思う」と話し、代替フード市場はさらに拡大していくと予測しています。

<輸入価格が3倍で… オレンジジュース価格上昇続く 安定供給へ“代替ジュース”誕生>

進化を続ける代替食品は、世界中で親しまれる「オレンジジュース」でも登場しています。大手食品メーカーのカゴメは3月「オレンジを使っていないオレンジ味の100%ジュースという商品を導入する」と発表しました。

その誕生の背景には世界的なオレンジの価格の高騰があります。東京・練馬区のスーパーではオレンジジュースが300円(税込み)で販売されていました。棚の隣にあるリンゴジュースと比べると70円以上も高い値段で、オレンジジュースの値段は他のフルーツジュースに比べておよそ1.3倍となっています。

なぜ価格が上がっているのでしょうか。オレンジは近年の天候不良や、世界最大の生産国・ブラジルなどで流行したかんきつ類特有の病害などの影響で世界的に不作が続いていて、円安も重なり、オレンジ果汁の輸入価格はこの3年でおよそ3倍に高騰しています。スーパーでオレンジジュースを購入していた人は「以前は(リンゴジュースなど)みんな同じぐらいの価格だったが、今は差がある。切らしたらすぐ買うようなものではないと感じる」と話していました。

オレンジの価格高騰を受け、販売方法の変更を余儀なくされた店もあります。

港区新橋の店ではオレンジを丸ごと3個使う100%生搾りのオレンジジュースを以前は500円で提供していましたが、仕入れ価格が倍増していることから現在は通常販売をやめ、1200円での“特別販売”としています。メニュー表のオレンジジュースの欄には「時価」と書かれています。販売する店の社長は「うちで販売するには値段がちょっと無理があるので、今、基本的にはお休みしている」と話します。

各所でオレンジジュースの価格に影響が出る中、安定した価格での供給を目指して3月10日に発売が開始された“オレンジを使っていないオレンジ味の100%ジュース”は、ニンジン特有の土臭さが少ない黄ニンジンをベースに、野菜や果実100%で“オレンジのさっぱりとした香りや味わい”を表現したという点が特徴です。試飲した人からは「(味は)オレンジ。酸味と甘みが絶妙」「スーパーでも(オレンジジュースの)値段が高くなってきているので、手軽なのであればこちらを買いたい」などといった声も聞かれました。

ジュースを開発したカゴメは、課題を抱える他の農作物についても今後新たな商品開発などを通じて、安定供給への貢献をしていきたいとしています。

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