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「物価の優等生」豆腐店の倒産・廃業相次ぐ 背景は/Tofu stores are going bankrupt or closing down. What the causes?

ビジネス - 2024年9月4日 20時00分
小売店向けにパック豆腐などを生産する「豆腐店」の倒産と廃業が相次いでいます。東京・千代田区の老舗豆腐店からは「コストが増加する中で価格転嫁ができない厳しい状況だ」と悲痛な声が聞かれました。

卵やもやしと並び「物価の優等生」として食卓を支えてきた豆腐を製造・販売する豆腐店が今、苦境に立たされています。千代田区の神田地区で100年以上続く老舗豆腐店・越後屋を営む石川義昭さんは「不安だらけ。昔は10軒以上あったが、この辺りにはもう3軒しか残っていない」と話します。また、石川さんは豆腐店の現状について、原材料の大豆の高騰だけではなく容器代、おからの廃棄代など多岐にわたるコストが上昇し、厳しい状況が続いていると話します。石川さんは「みんなコストが上がっている。下がっているものなんかない。豆も水道も電気も上がっている」と窮状を訴えました。

帝国データバンクによりますと今年=2024年の1~7月の間に廃業・倒産した豆腐店(負債1000万円以上の法的整理となった、豆腐製造業・製造小売の合計)は36件で、この数字は過去最多に並んだ去年=2023年の「年間46件」を大幅に上回るペースとなっていて、年間60件に達する可能性があるということです。

物価高によるコスト増加とともに「豆腐は安い食材」だという消費者の印象から、価格転嫁が難しいことも影響しているようです。石川さんの店でも去年、10円の値上げをしようと、新価格の料金表を作成しました。しかし、10年ほど前に10円の値上げを行った際、客足が遠のいた経験があることからいまだに値上げに踏み切れないといいます。記者から「10円上げるのもきつい?」と尋ねられると石川さんは「うん。またこれで今、値上げしたら(厳しい)。それがなくても今、お客さんが少ないのに」と語りました。

店はオフィス街に位置していることもあり、コロナウイルスの流行以降、リモートワークが広がったことで客足が遠のいたといいます。

経営を続けていくため、価格改定という苦渋の決断を迫られています。石川さんは「どうなるのかなっていう不安だらけ。(上向きになりそうな兆しも)今のところまだ、あまりない」と話しています。

<“物価の優等生”豆腐 コスト増で倒産相次ぐ>

コスト増加が大きな打撃となっている豆腐店ですが、もともと安価な値段で食卓を支えてきたということもあり、取材した石川さんは「タイミングを慎重に見極めながら、今年中になんとか値上げをしたい」と話していました。豆腐の適正価格への理解が進んでいくことが望まれています。

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