豆腐が海外から注目 インバウンド向けの体験も
文化 - 2025年4月18日 08時00分
外国人記者の視点で日本の魅力や課題をお伝えするTOKYO LENSです。取材したのは中国出身で中国語、日本語、英語を話す報道部の曹蒙記者です。きょう取り上げるのは「豆腐」です。
近年豆腐店は物価高などの影響で厳しい状況に立たされています。一方、栄養価の優秀さから豆腐は海外からの注目が高まっていて都内ではインバウンドに向けた取り組みも準備が進められています。豆腐の現状を取材しました。
千代田区神田多町にある豆腐店…明治時代から100年以上続く老舗です。
「うちで今使っている豆は全部国産。味が全然違うんだけどね」
材料にこだわりをもって豆腐を作り続けたいという主人の思いとは裏腹に、近年、豆腐店を取り巻く環境は厳しい状況が続いています。
「(千代田区に)前はざっと数えても10軒くらいあったね」
「今は何軒くらい?」
「今は4軒から3軒くらいですね」
「半分以下になってるんですね」
ここ数年増加傾向にある豆腐店の倒産…その背景にあるのは原料費や容器の高騰による経営の圧迫です。
さらに…「豆腐は安い食材だ」という消費者のイメージから価格転嫁が難しいといいます。
店ではおととし、全ての商品を10円ずつ値上げしようと新しい価格表を作成しましたが踏み切るには至りませんでした。
「値上げするとお客さんが来なくなっちゃうとか、そういうことを考えているとちょっと値上げしにくいなと思って」
厳しい状況が続く豆腐店ですが…それでも石川さんは、おいしいと言ってくれるお客さんのために豆腐を作り続けます。
「お客さんにお宅の豆腐おいしいっていわれるのが一番。そう言われるとうれしくなっちゃう」
そもそも豆腐の起源は中国で、日本には奈良時代から平安時代にかけて遣唐使により伝えられたといわれています。
発祥の地・中国と日本の豆腐には、どのような違いがあるのでしょうか。
中国出身の曹記者が日本の冷ややっこを試食しました。
「中国では豆腐を調理して食べるのがメインの食べ方で、こうやって(調理せずに)食べるのが日本独特の文化だと感じます。」
日本で独自に進化した豆腐…専門家はその背景について
「冷ややっこで食べることができるような衛生的な豆腐を作る技術があったのだと思います。」
日本の豆腐は今海外からの需要が高まっています。豆腐の輸出額は年々、右肩上がりとなっていてここ7年でおよそ3倍に増加しています。
その理由について専門家は、肉を食べない国や地域の人でも豆腐で手軽にたんぱく質を得られるためだと指摘します。
「ハラールに関係する方やビーガンの方もそうですけど、お豆腐を中心とした料理で、たんぱく質の補給をしたいという方もいます。やはり良質のたんぱく質を多く含んでいるというのが一番いいんじゃないですかね」
海外からの豆腐の注目の高まりに伴い都内ではインバウンドに向けた取り組みも始まろうとしています。訪れたのは、墨田区曳舟…
平沼さん:「こちらでは、大豆からお豆腐を作る体験をしていただく教室となっています」
曹:「大豆からなんですね。本当に0からの体験なんですね」
管理栄養士などの講師のもと大豆から豆腐を作る体験教室です。
平沼さん:「底に沿いながら流れるプールを作るように。にがりが固まるのが非常に速いので練習をします。はい、そうです。」
この教室で外国人に味わってほしいのは「五感を使った豆腐体験」音・触感・香りなど全身で豆腐を知ることができます。
「香りはどうですか?」
「大豆の匂いがたっぷりで、自分で作らないと楽しむことができないなと思うと、海外の人からするとこういう自分で作る魅力を感じられるのかなと思います」
およそ2時間ほどで全ての工程が終了しました。果たして、その出来上がりは…?
曹:「きれいに固まってますね!形もとてもきれいです。」
最後は「出来立ての豆腐」のおいしさを感じて体験は終了です。平沼さんは体験を通じて豆腐の良さを世界に広めたいと話します。
平沼さん:「日本の豆腐がこんな感じなんだよというのを伝えてもらうのももちろんですし、世界全体に大豆の良さ、豆腐の良さを知ってもらえるようになったらいいなと思います」
(2025年4月18日放送「おはリナ!」より)