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「卵かけご飯」が“日本でしか食べられない”ワケとは?【TOKYO LENS】

文化 - 2024年11月1日 07時00分
外国人記者の視点で日本の魅力や課題を伝える『TOKYO LENS』です。中国出身の報道部・曹蒙記者が取材しました。今回取り上げるのは【卵かけご飯】です。世界の食卓に欠かせない卵と米…。その一方で「卵かけご飯」を食べるのは日本だけといわれています。そのワケとは──。

文京区にある卵料理専門店「喜三郎農場」。全国から厳選したこだわりの卵を揃えるこちらのお店は客のおよそ3割が外国人だといいます。そして多くの外国人客のお目当てが…

曹記者:「何を注文しましたか」
海外から:「ご飯の上に生卵をのせた物」「卵かけご飯」「TKG」

日本人のソウルフード、卵かけご飯。1200円で卵もご飯も食べ放題の定食が大人気です。

曹記者:「味はどうですか」
フィリピンから:「とってもおいしい」
アメリカから:「ご飯もシンプル、卵もシンプル。なのに掛け合わせるととてもユニークで豊かな味わいが口いっぱいに広がる」
アメリカから:「本当にクリーミーで、イタリア風のクリーム系パスタソースのような感じでおいしい」

7種類もある卵の中からどれを食べるか真剣な表情で選んでいます。

曹記者:「今のところ何個くらい食べましたか」
カナダから:「多分4つくらい食べたよ。あと2、3個は食べると思う」
曹記者:「それが5個目ですか」
カナダから:「5個目、6個目」

海外から来た人たちが卵かけご飯に夢中になる理由。それは、卵を生で食べること自体が日本特有の文化だからです。

曹記者:「生卵を食べるのは初めてですか」
アメリカから:「初めてね。今まで食べたことない」
曹記者:「なぜアメリカでは生卵を食べないのでしょうか」
アメリカから:「病気になると思っている人が多い。ほとんどのアメリカ人は生卵には手を出さないと思う」
カナダから:「自分の国では安全ではないと言われているから、挑戦する機会がなかったんだ」

海外の卵には多くの場合、食中毒を引き起こす菌が付着していて、加熱して食べるのが前提になっているといいます。

曹記者:「中国でも卵は調理して食べる文化なので、生で食べるという発想はなかったです」

日本で生の卵を食べられる理由は生産の過程にあります。50年以上続く立川市にある伊藤養鶏場ではおよそ7000羽の鶏が飼育されています。そして、この飼育方法に特徴が…

曹記者:「鶏は平置きで飼っているイメージがありましたが、ここでは段積みで飼われているんですね」

海外では鶏を地面で飼う「平飼い」が一般的ですが土地が限られた日本では多くの鶏を効率的に飼うため、かごを何段も上に積んで高いところで飼育する「ケージ飼い」が主流です。

養鶏場担当者:「鶏が地面をつつくことがない。病気になってしまう原因も土の中にはいっぱいある。そういうものが餌や体の中に入りこむリスクがなくなるというところで、衛生面が大幅に良くなった」

これが結果として地面に生息する菌や寄生虫が卵に付着するのを防ぎ、卵を生で食べる文化が日本に根付いたということです。さらに、この養鶏場では洗卵機を使わず卵を丁寧に手洗いしています。

養鶏場担当者:「卵はひなが孵るものなので、ちゃんと呼吸ができるように顕微で見ると殻に小さい穴がいっぱい開いている。ただ穴が開いていると中に細菌が入っちゃう。だから細菌が入らないように見えない膜でコーティングされている。そのコーティングがものすごく大事で。なるべくコーティングを落とさない洗い方」

日本のソウルフード、卵かけご飯。独自の飼育方法や品質管理が生み出した、日本ならではの文化でした。

(2024年11月1日放送「おはリナ!」より)

『おはリナ!』
TOKYO MXにて月~金あさ7時から放送!
【番組HP】https://s.mxtv.jp/variety/oharina/
【X(旧Twitter)】@oha_rina
【インスタグラム】@oharina_mx

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