海外で注目高まる「盆栽」その魅力はとは?広がる上での課題も
文化 - 2025年6月20日 08時00分
ここからは外国人記者の視点で日本の魅力や課題をお伝えするTOKYO LENSです。取材したのは中国出身で中国語、日本語、英語を話す報道部の曹蒙記者です。きょう取り上げるのは「盆栽」です。
多くの外国人が訪れる東京・丸の内…世界的な高級ブランドが並ぶ通りの中である専門店が外国人に人気です。
曹:「千代田区の丸の内仲通りに来ています。アパレルやアクセサリを扱う店が多く立ち並ぶ中、こちら盆栽専門店があるんです。」
去年、丸の内にオープンしたトラッドマンズ東京は客のおよそ7割が外国人だといいます。
Q:「盆栽についてどう思いますか?」
アメリカから:「とても美しいと思います。手入れに精密さが必要で、それがすごいなと思います。」
ブラジルから:「ブラジルでもボンサイって言います。大きな木の特徴が小さいサイズの中に詰まっていて、興味深いです。」
ドイツから来たこちらの女性は家の庭にオリジナルの盆栽を飾っているのだといいます。
ドイツから:「小さな木を園芸店で買って、この鉢に移し替えたんです。盆栽のスタイルが好きなので。」
店内を見てみると…樹齢150年の真柏が200万円と高額なものも。
店の担当者は外国人が感動する理由について…
店長:「日本人のわびさびや引き算の美学、余白の美学ってところの繊細さと、ミニマルさをすごく感動してくれるお客さんも多い。」
盆栽の輸出額は2019年には4億8千万円程でしたがおととし、9億円を突破しおよそ2倍と急激に伸びています。
さらに海外では盆栽のイベントも開かれていてフランス在住の盆栽家・ラムゼさんはパリで毎年盆栽の展示会を開催しているといいます。
フランスから:「2021年から「ボンサイカルチャーエキスポ」という展示会を主催しています。フランスやヨーロッパ中から盆栽ファンが集まり、日本の専門家をパリに招いています。毎年3~4000人が来場します」
盆栽とはどのように楽しむものなのか、実際に曹記者が豊島区にある盆栽体験教室を訪ねました。教室では木の植え替えや枝の剪定など、幅広い作業を体験できます。作業を行う上で特に重要なのが「イメージ」です。
講師:「木がこっちに向かって育っているよというのがここから表れている。」
講師の堀部さんは木の形などをもとに自然の中でどのような状況に置かれているのかを想像しながら配置していくことが盆栽の醍醐味だといいます。
曹:「全体的に右のほうに傾けていることで、風や太陽が右のほうにあたっているというのをイメージできるのですごく面白いです。」
先生:「小さい空間でもイメージ次第では無限に広がりますから。そういう遊びですよね。」
ラムゼさんは盆栽の魅力を自然とつながることだと話します。
フランスから:「自然の中の木々のイメージをたくさん持っておき、それを鉢の中で再現する。だから盆栽をやっていると、自然とつながる。」
海外からの注目が高まる盆栽…しかし、海外に広めていく上では課題があります。それが…木を植える土です。土などに潜む害虫や雑菌のリスクから盆栽の中でも人気の高いクロマツという種は5年程前までEUへの輸出が禁止されていました。少しずつ緩和されているといいますが現状について専門家は…
「検閲を受ける期間は日本で2年間、その間おそらく2カ月に一度くらい検査官によって検査されて、最終的な検査を通ったものが輸出の対象になるという形のようです」
海外に普及させるために課題がある盆栽ですが盆栽店の担当者は今後より世界に発信していきたいと意気込みます。
店長から:「世界中で盆栽がだんだんと当たり前の存在になっていって、家庭を彩る当たり前の、観葉植物と同じような感覚で楽しんでもらえるものになっていくんじゃないか。日本の誇れる盆栽を世界に伝えるって、そこを一番頑張っていきたい。」
(2025年6月20日放送「おはリナ!」より)