「天ぷら」さらに世界に広める取り組み
文化 - 2025年6月6日 08時00分
外国人記者の視点で日本の魅力や課題をお伝えするTOKYO LENSです。取材したのは中国出身で中国語、日本語、英語を話す報道部の曹蒙記者です。きょう取り上げるのは「天ぷら」です。和食の代名詞として世界的に知られる天ぷら…。繊細な技術による中の食材を魅力を活かす衣にありました。そして近年、都内の店では天ぷらをより世界にひろげるための取り組みが行われています。
中央区築地にある天ぷら店…この店は客のおよそ半分が外国人観光客だといいます。
Q:「お味はどうですか」
アメリカから:「とてもおいしかったです。最高でした!今回の旅行で食べた中でも、特に印象に残った食事の一つです」
アメリカから:「エビがすごく気に入りました。アメリカだとエビは固くてカリカリしていて柔らかくないんです。でもここでは衣も大きすぎず、すごく柔らかかったです」
フィリピンから:「日本で天ぷらを食べるのは5回目です。日本に着いたらまず食べたいと思う物の一つです」
天ぷらの味や食感に感動する外国人たち。おととし行われた調査によりますと日本を訪れた外国人の半分近くが天ぷらを食べていて和食の代名詞として広く親しまれています。しかし実は、その起源は日本ではありません。
今からおよそ400年前にポルトガルから伝わってきたといわれていて江戸時代には天ぷらの屋台もあり徐々に庶民に広がっていきました。ではどうしてここまで日本に広がったのでしょうか。
世界の食に詳しい専門家小倉さん:「天ぷらは外側が薄衣でカラっとしていて、中は素材の個性そのまま活かしているジューシーな部分も残っている料理ですよね。日本には四季があって、その四季を活かした料理の一つだと思う。新鮮な食材がすぐにとれた」
天ぷらはその薄くて繊細な衣により中の食材の魅力を引き立てます。
そしてそんな繊細な衣は職人の熟練の技術のうえで成り立っています。
職人から:「これはまだ泡がいっぱい、大きめな泡なので。これが段々もっと小さくなってきますこの辺の泡を見てもらうと、細かくたくさん出ていると思うんですけど、これが合図。あと若干色がきつね色になっている」「些細な小さなことなんですけどそこに気づけるかっていうことが経験値、職人の技かなっていう風に思います」
揚げ物の中でも繊細な衣が特徴である天ぷら。浅草にある天ぷら店ではさらに多くの外国人が楽しめるようにするため衣にある配慮をしています。一見、一般的な天ぷらと変わりませんがその内容は…
店長から:「体質的に欧米の方、グルテンが全く食べられないという方がいらっしゃるというのを知って、最初にレシピを考える時からグルテンフリーを織り込んでこういった形でグルテンフリーの店をやれている」
小麦などに含まれるたんぱく質「グルテン」が体質的に摂取できない人が世界的に一定数存在します。そのためこちらでは一切グルテンを含まない天ぷら粉や醤油を使用しています。この日もグルテンが体に合わないため含まれていない天ぷらを求めて訪れた外国人観光客の姿が。
オーストラリアから:「グルテンフリーの選択肢がなければ、そもそも天ぷらを食べられませんでした。でも実際に食べられたことで、家族や友人にも進めることができる」
オーストラリアから:「おなかの調子が悪くなってしまうことがあって。だからグルテンフリーのものを見つけてとてもうれしかったです」
また、天ぷらを広げるためにこんな取り組みも…
曹:「この店には天ぷらを揚げる機械が二つありまして、一台は肉や魚、そしてもう一台は野菜専用になっています」
野菜を揚げる専用の機械が用意されていて動物性食品を摂取しないビーガンの人も安心して食べられるようにしています。さらに、スタッフにも英語が堪能な外国人を積極的に雇用。カナダ出身のカイセイさんもその一人です。母親と日本に観光に来た際に天ぷらを食べ感動したというカイセイさんは去年来日し天ぷら職人としてのキャリアをスタート。天ぷらという食文化の文化の魅力を世界に発信していきたいと話します。
カイさん:「お母さんと体験した日本の天ぷらのおいしさとか感動を、私みたいな外国の方に届けたい」
(2025年6月6日放送「おはリナ!」より)