「年収の壁」巡り…総務相が全国知事会へ「反対してほしい」“申し入れ”か 宮崎県は緊急要請の“たたき台”作成認める

(その他 - 2024年11月14日 19時00分)

103万円の「年収の壁」といわれる基礎控除の引き上げ、さらにはガソリン価格のトリガー条項解除を巡って、総務省側から全国各地の首長などに「申し入れ」などがあるという話を裏付けるような文書を独自に入手しました。一体この文書は誰がどのような目的で書いて送付したのでしょうか。取材しました。 国民民主党の玉木代表が11月13日、TOKYO MX『堀潤 Live Junction』に出演し、103万円の「年収の壁」を巡る総務省と全国知事会の動きを明らかにしました。堀潤が玉木代表に「『103万円の壁突破で地域はどうなるんだ』という話があるが」と尋ねると、玉木代表は「今、一生懸命、総務省から全国知事会や各自治体の首長に対し、工作をしている。工作というのは『こういう発言をしてくれ』『こういう減収があるからやめてくれ』ということを、村上大臣自身から知事会の会長などに連絡をして、発言要領まで作って。そういうことをするのは私はいかがなものかと思う。国が一生懸命、総務省が一生懸命工作するのはやめてもらいたい」と発言しました。 玉木代表が話す「総務大臣による各知事への“工作”」とはどんなものなのでしょうか。 国民民主党が掲げるのが、所得税が発生する年収を現在の103万円から178万円まで引き上げる経済政策です。政府や全国知事会はこの、いわゆる「年収の壁」の見直しにより、国と地方の合計で年間7兆6000億円程度の税収減が見込まれるとして、懸念を示しています。 堀潤が入手した情報では11月11日、村上総務相が全国知事会の村井会長に対し電話で、年収103万円の壁について「野党の言うことを全て聞くと地方財政が持たない。知事会として反対の意見を言ってほしい」と伝えた上で、マスコミへの対応についても「地方財源に対する問題の議論を脇において検討が進むことについて反対である」とするよう、指示をしたということです。 実際に、村上総務相から村井会長へ働きかけがあったのか、総務省の担当者に取材し「総務省から各自治体の首長にレクをしているという話を聞いたが、事実があるかどうか」と尋ねると「私は存じ上げていないですね」、さらに「情報をまとめて、総務省として地方の首長たちにレクをしたという事実はないのか」と続けると「存じ上げないですね」と回答しました。 また、全国知事会の事務局も、そうしたやりとりがあったかどうかは「分からない」という回答でした。 村井会長が知事を務める宮城県も「把握していない。この話自体が今、初めて聞いた」とコメントしています。 そうした中、全国知事会は11月19日に自民党の総務部会に緊急要請を行うということです。入手した「要望」の原案には「年収の壁」の引き上げなどによって巨額の税収の減少や、行政サービスにかかる歳出の拡大などが懸念されることから「地方が安定的に行政サービスを維持することができるよう、地方財政への影響に十分配慮することを強く求める」と記されています。 今回の緊急要請の名義は「全国知事会」の村井会長と、全国知事会の「地方税財政常任委員会」で委員長を務める宮崎県の河野知事となっています。そして作成しているのは河野知事の「宮崎県」だということで、実際に確認してみると、宮崎県の担当者は「委員長県なので当然そういう動きも想定しつつ準備を進めておりますので、たたき台的なものは委員長県である当県で作ってはいる」と、緊急要請の作成を認めました。一方、常任委員会に入っていない自治体、例えば岡山県には全国知事会から緊急要請に関する連絡は特に来ていないということです。

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