福島・双葉町から世界へ「復興のシンボル」タオル発売/Symbol of recovery Towel from Futaba town
吸水性や耐久性などに優れているというバスタオルが発売されます。このタオルは、東日本大震災による原発事故の影響で全ての住民が避難生活を余儀なくされていた福島県双葉町で作られた糸で製造されています。“福島復興のシンボル”として世界に羽ばたかせたいというタオル作りへの思いに迫りました。 全国の職人たちが手がける商品を扱う東京・港区の店舗で8月27日から販売されるのが、バスタオル『わたのはな』です。前日の発表会見で、タオルを製造する浅野撚糸の浅野宏介専務は「とにかく水を吸う。バスタオルの半分のサイズで、バスタオルとして使用できる。普通のバスタオルの半分で洗濯の量も済む。乾燥時間も早い。一番のSDGsはやはり福島県双葉町の復興。ここをわれわれは一番望んでいる」と語りました。 このタオルの原料である「糸」は、大震災の影響を受けた地で「世界初」という工法によって生み出されました。福島県双葉町は、2011年の東日本大震災によって起きた福島第1原発事故の影響で全町避難を強いられた町です。町では2022年8月、一部地域で避難指示が解除されましたが、現在、町に住んでいるのはわずか135人(8月1日現在)で、依然としてほとんどの町民が故郷に戻っていないのが現状です。そこで、復興が進まない双葉町を後押ししようと、岐阜県の企業・浅野撚糸がおよそ30億円を投じ、2023年、町に糸を作る工場を完成させました。この工場の稼働により、岐阜から双葉町に10人が移住し、さらに福島県内の周辺住民の雇用も生み出しています。浅野専務は「2019年7月末に視察に行った際、私の中では復興はある程度進んでいると思っていたが、双葉町は町全部がバリケードで人も1人もいないという状態だった。『町民の働く場所を』ということを一番の大義名分で進出を決めた」と明かしました。 そしておよそ1年にわたる試行錯誤を繰り返し、通常の糸とは逆方向に糸をより合わせ、複雑に繊維を絡み合わせることで、柔らかさ・耐久性を兼ね備えた世界初の糸を完成させました。浅野専務は「工場もこれから“開花”していかなければならないし、この『わたのはな』あるいは『超無撚糸』を日本国内はもちろん、世界中に広げていって、双葉の復興と共に開花させていきたい」と力を込めました。 特殊な糸で作られるバスタオルは吸水性にも優れ、サイズは通常の半分の大きさに抑えられているため、乾燥も早いということです。また、生産する時の綿花の量も従来の3分の1以下に減らすことができるなど、環境にも配慮されています。“被災地から世界へ”──このタオルが双葉町を支える糸として復興の後押しにつながることが期待されます。
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