河川敷のバーベキューで迷惑行為…不法投棄が頻発 東京・奥多摩町/Frequent illegal dumping at riverbed barbecues in Okutama

(地域・まち - 2024年08月21日 20時00分)

東京・奥多摩町ではここ数年、バーベキューのごみが違法に捨てられる迷惑行為が横行し、問題になっています。多い時には1日にトラック1台分ほどのごみが捨てられていて、町は対策に苦慮しています。 東京都心から電車でおよそ2時間ほどの場所にある自然があふれる奥多摩町には、毎年およそ200万人もの観光客が訪れています。特に夏には多くの人がバーベキューをしようと河川を訪れますが、そこで問題となっているのが“ごみの不法投棄などの迷惑行為”です。奥多摩町によりますと、夏休みシーズンには木炭やバーベキューの網などが大量に捨てられ、8月の「山の日」を含む3連休にはトラック2台分ほどのごみが捨てられていたということです。また、夜には花火をしたりスピーカーで大音量を流したりと、騒音への苦情を訴える住民の声も上がっています。 こうした迷惑行為に対応しようと奥多摩町は8月、環境省などと連携して捨てられたごみを回収するとともに、マナーを守るよう呼びかけました。この日も町職員らが「ごみの持ち帰りに協力を。増水しているので遊泳中に流されないように」などと注意を呼びかけながら歩いていると、河原で禁止されている直火でのーベキューをする行為を発見しました。町職員は「直接火を使ってはいけない。ここは国立公園。直接火を使うと地面に影響出るし、生き物がいるかもしれないし困る。日本語分かる?」などと呼びかけ、協力を求めました。しかし結局、呼びかけを行ったこの日も河原にはバーベキューのごみが大量に捨てられていました。 さらにごみは河原だけでなく、街の中に捨てられるケースも多く起きているようです。この事態を受け、奥多摩町も対応に乗り出していますが、近年、バーベキューに来る客の多くは外国人で、マナーとルールを理解してもらうことが困難だということです。そこで、町が秘策として始めたのが特殊な「ドローン」です。日本語・英語・中国語の3カ国語に対応したスピーカーで、国内外の観光客に向け「バーベキューで出たごみは河川や空き地、公衆トイレなどに放置せず必ず持ち帰りましょう」などと、ごみを放置しないよう注意を呼びかけています。しかし、町の担当者はこうした対策を進めても迷惑行為を減らすことは困難だとして「1日に500~600人も来るような状況で、直火もかなりあった。マナーアップも周知啓発も限界がある。特にほとんどが外国人で、多言語の周知もなかなか響かない。もどかしさを感じている」(奥多摩町観光産業課・大串清文課長)と話します。 奥多摩町は今後、東京都と連携して河川の迷惑行為への対策を具体的に検討していく考えです。 <河川の迷惑行為 管理区分による課題も> 現在、奥多摩観光協会は“バーベキューごみ”などの観光ごみの不法投棄の対策として、有料のごみ袋を販売し、ごみを回収する取り組みを行っています。しかし、町の取り組みだけでは問題の解決が難しい事情もあるようです。 それは、河川の“管理区分”です。実は、奥多摩駅周辺を流れる多摩川を管理しているのは奥多摩町ではなく「東京都」です。都の担当者は、ごみ問題の対策のために「バーベキューの有料化」といった新たな制度を行う場合は奥多摩町が許可の申請を行った上で、河川を管理する東京都の承認を受ける必要があるとしています。奥多摩町としては迅速に対応していきたいところですが、町だけではすぐに解決できないという制度上の課題もあり、今後、東京都との連携の強化が鍵となりそうです。

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