海外から注目のこんにゃく 都内でも製造【TOKYO LENS】
外国人記者の視点で日本の魅力や課題をお伝えするTOKYO LENSです。取材したのは中国出身で中国語・日本語・英語を話す報道部の曹蒙記者です。 寒い冬が近づくにつれて食べたくなる「おでん」。食品メーカーの調査によりますと、大根や卵といった具材に次いで人気なのがこんにゃくです。台東区浅草にあるおでんが名物のこちらの飲食店。訪れる客のおよそ半分は外国人観光客です。外国人にこんにゃくについて聞いてみると… アルゼンチンから:「見たこともありませんでした。ゼリーみたいな見た目ですが、何で出来ているのかはわかりません」 オーストラリアから来たこちらの男性も、こんにゃくは生まれて初めて見たといいます。味の感想は? 男性:「魚介類のような味がするね。食感も目新しくて、私は好きだ」 そもそもこんにゃくが日本に伝わったのは6世紀ごろ。それからおよそ1500年、日本で独自の文化として広まっていきました。そのこんにゃくは近年、海外への輸出額が大きく増加しています。2019年度には年間5億5000万円ほどでしたが、2023年度には2・5倍以上のおよそ14億円となりました。その背景として専門家は、海外で広がる健康志向を指摘します。 専門家:「こんにゃくが海外でブームなのは健康ブームが大きいと思います。カロリーが非常に少ないということで、ダイエット志向の中で人気というのが一つと、もう一つ大きいのは食物繊維が豊富ということですね。お通じもよくなるし、腸内環境も整える。あとはその独特の食感がですね、非常においしくいただける面もあると思います」 ヘルシーさやその独特な食感が評価され、世界に広まりつつある日本のこんにゃく。その原料であるこんにゃく芋は、国内では90%以上が群馬県で生産されています。ただ、こんにゃく芋はここ東京でも作られているんです。 訪れたのは都心からおよそ2時間の檜原村。檜原村では江戸時代からこんにゃく芋の栽培が続いています。例年、11月から12月頃が収穫期だということで、この日は地面に埋まっている芋の掘り起こし作業が行われていました。 農家:「これを植えて、3年かかってここまでになる」 曹:「3年間もかかるんですね!」 檜原村のこんにゃく芋栽培が古くから盛んな理由は、その地形にあるといいます。 井上さん:「檜原村は平らなところがあまりない。急斜面のところで作ることが多いので、水はけがすごくいい。だから芋類に適している」 檜原村では芋の栽培だけでなく、こんにゃくの製造まで行なっています。村で受け継がれる伝統的な製法「バッタ練り」。バッタンバッタンと音がすることから名付けられたといいます。独特な混ぜる工程で無数の気泡がつくり出され、この気泡がおいしさにつながるのだと話します。 井上さん:「気泡の中に、煮物にした時にこんにゃくの中にツユとかそういうのが全部入ってくるのですごくおいしくなる」 練るときの加減によって食感が変わるため、職人の技術が求められるこの製法。一般的な製法に比べて人手や手間が3倍ほどかかりますが、おいしさを追求するために受け継がれています。 実際にバッタ練りで作ったこんにゃくを食べてみると… 曹:「弾力があって歯ごたえがいいですね。中まで味がしみ込んでいてすごくおいしいです」 井上さんは、この技術を継承しこんにゃくの品質をこだわり続けたいと話します。 井上さん:「バッタ練りができなくなたら、こんにゃく屋さんをやめていいという格言がある。手間暇はかかりますけど、やっぱりそこまでやらないと、こだわらないと、皆さんにおいしいものを届けられないと思ってやってます」 (2025年11月5日「Wake Up 7」より)
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