京王線“ジョーカー”刺傷事件 懲役23年の判決 「凶悪で卑劣」

(事件・事故 - 2023年07月31日 20時05分)

走行中の京王線の車内で乗客を刺し、車両に火をつけたとして罪に問われた男の裁判が開かれ、懲役23年の実刑判決が言い渡されました。 人気映画「バットマン」の悪役・ジョーカーの仮装で犯行に及んだ服部恭太被告…この裁判は、おととし(2021年)10月、京王線の電車内で70代の男性をナイフで刺してけがを負わせ、車内に火を付けて乗客らを殺害しようとしたとして、無職の服部恭太被告26歳が罪に問われました。 「服部被告の判決を見届けようと多くの人が裁判所の前に並んでいます。」きょう(31日)、裁判が開かれた東京地裁立川支部には、傍聴券を求める長い列ができていました。これまでの裁判で検察側は「動機は身勝手極まりなく強い非難に値する」として懲役25年を求刑。一方、弁護側は放火により必ずしも乗客12人全員への殺人未遂罪は成立しないとして、懲役12年が相当だと主張していました。 そしてきょう(31日)の裁判で…竹下雄裁判長:「被告人を懲役23年に処す」「多くの死傷者が出てもおかしくない状況で、凶悪で卑劣な犯行というほかない。」判決では、放火によって乗客12人のうち10人の殺人未遂が認められ、「偶然、電車に乗り合わせた乗客の命を狙った無差別的な犯行だ」と、と指摘されました。傍聴に訪れた人は懲役23年という判決について… 傍聴した人:「正直短いなと思った」「多くの人が心と体が傷ついた 一生その傷を抱えると思うと どうなのかなと」「今後 このような事件が 模倣なども含めて 痛ましい事件がなくなってほしい」 ///// ここからは服部被告の裁判を傍聴し、取材してきた多摩支局の白井記者とともにお伝えします。 Q:まずこの裁判を通して被告にどんな印象を持ちましたか? ⇒金髪で「ジョーカー」のコスプレをした姿が印象的だった服部被告ですが、法廷では頭は丸刈りでとてもおとなしそうな青年といった印象で、裁判中はあまり感情を示す様子はみられませんでした。 ただ、自らの半生の話になると、「自分はゴキブリのような汚い存在だ」と、自分を蔑む発言を何度も繰り返すなど被告が自身への強いコンプレックスを抱えていたことがうかがえました。 Q:きょう(31日)の裁判で懲役23年の判決が言い渡された時はどのような様子でしたか? ⇒裁判中は終始、落ち着いた印象だった服部被告ですが、判決の前にはときおり上を向いたり下を向いたり、頭をきょろきょろと動かしていて、落ち着かない様子でした。 ただ、判決の際には少しうつむき加減で前を向きじっと裁判長の話を聞き、問いかけに対しても小さく「はい」と返事をしていました。 ・では今回の裁判がどんな点で争われたのか、改めて見ていきます。 この裁判はおととし(2021年)の10月に走行中の京王線特急電車で乗客をナイフで刺し車両に火を付けたとして殺人未遂などの罪に問われた服部恭太被告の裁判員裁判です。今回、最も大きな争点となったのが放火が乗客12人への殺人未遂にあたるかどうかでした。きょう(31日)の判決では…12人のうち10人に対し、殺人未遂罪の成立が認められました。 一方で残りの2人については竹下雄裁判長は「死亡する可能性がある危険な場所にいたか合理的疑いが残る」として成立を認めませんでした。 Q:白井さん、今回の裁判では被害者の切実な訴えも聞かれましたね。 ⇒被害者からは「電車を乗るのが怖くなった。一生社会に出てこないでほしい」など、重い刑を求める意見が出ていました。 「死刑になりたい」と犯行に及んだ被告に対しきょう(31日)裁判長は、「苦しくても生きて償うことを忘れないで下さい」と声をかけました。被告には懲役23年という刑期の中で、自らの罪と被害者への償いにしっかりと向き合ってほしいと感じました。

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