港区・白金高輪駅の硫酸事件 恨みを募らせ犯行か

(事件・事故 - 2021年08月30日 21時00分)

 東京メトロ・白金高輪駅で8月24日に男性が男に硫酸をかけられた事件で、警視庁は28日、男性と大学時代に同じサークルに所属していた男を逮捕しました。警察は男が恨みを募らせて事件を起こした可能性があるとみて調べを進めています。  30日に東京地検に身柄を送られたのは、静岡市の大学生・花森弘卓容疑者(25)です。警視庁によりますと事件現場の近くで花森容疑者が身に着けていた手袋が新たに見つかり、その手袋に付いた指紋と花森容疑者の自宅を捜索した際に採った指紋が一致したことが分かりました。また、事件当時着ていたとみられる黒いシャツも発見され、花森容疑者が硫酸がかかったため着替えて逃走したとみられています。  警視庁は逃走した花森容疑者の防犯カメラの画像を27日に公開し、全国に指名手配しました。そして28日に沖縄県内で花森容疑者を見つけ、傷害の疑いで逮捕しました。花森容疑者と被害に遭った男性は大学で先輩と後輩の間柄で、男性は「大学時代にタメ口を使い、トラブルになった」と話しているということです。  警視庁は花森容疑者が恨みを募らせて事件を起こした可能性があるとみて調べを進めています。 <容疑者の足取り 事件の背景は?>  犯行から4日後、沖縄県内で逮捕に至った事件の経緯をまとめました。  8月24日午後5時半ごろ、防犯カメラに花森弘卓容疑者が地下鉄赤坂見附駅近くにある被害男性の勤務先周辺をうろつく様子が写っていました。男性を待ち伏せしていたとみられます。男性がその後、赤坂見附駅から地下鉄に乗ると花森容疑者も同じ電車に乗り、溜池山王駅で乗り換え、男性と同じ車両に乗って3つ先の白金高輪駅までついていきました。花森容疑者は白金高輪駅で同じ改札を出た後、午後9時すぎに上りエスカレーターで犯行に及びました。  犯行後、花森容疑者は24日中にJR品川駅から新幹線に乗り、静岡市の自宅へと戻りました。事件翌日の25日午後、静岡駅の防犯カメラに姿が確認されています。さらに、愛知県の中部国際空港から沖縄県の那覇空港に移動し、バスに乗って宜野湾市の友人の家を訪れていました。友人はかつてのアルバイト仲間とみられ、花森容疑者が全国指名手配されていたことは知らなかったということです。友人宅には3泊していて、花森容疑者の着替えやパソコンも見つかっています。そして28日朝、花森容疑者は友人宅近くの路上で沖縄県警の警察官によって身柄が確保され、那覇警察署で警視庁が逮捕しました。  花森容疑者は身柄を確保された際にまぶたや両腕などに軽いやけどをしていて、事件の際に硫酸がかかったとみられています。また、現金およそ50万円が入った封筒を持っていたことも分かっていて、警視庁は長期間の逃走を計画したとみています。  花森容疑者と被害男性は7月下旬に六本木で会っていたことも分かっていて、その際、男性は花森容疑者に「おまえ、ばかにしていただろう」などと言われたと警視庁に説明しています。花森容疑者と男性は琉球大学時代の映画サークルの先輩・後輩の関係で、男性は大学時代に花森容疑者に対して“タメ口”を使い、花森容疑者から「自分が年上なのにタメ口はおかしい」と怒られ、トラブルになっていたとも話しています。また捜査関係者によりますと、花森容疑者も「大学時代、男性の態度が悪かった」という趣旨の供述をしているということです。  警視庁は花森容疑者が学生時代からの恨みを一方的に募らせていた可能性もあるとみて調べています。

続きを読む