都内で作り酒 作りての思いは・・・【TOKYO LENS】

(文化 - 2025年11月20日 20時00分)

外国人記者の視点で東京の魅力や課題をお伝えするTOKYO LENSです。取材したのは中国出身で中国語・日本語・英語を話す報道部の曹蒙記者です。 きょう取り上げるのは「東京で作られる酒」です。都内でも各所でワインやビール、日本酒などが作られているのをご存じでしょうか。今回東京でとれた食材で作られるこだわりの酒とその酒にかける作り手の思いを取材しました。 あすに解禁日を控えた、世界的な知名度を誇る「ボジョレー・ヌーボー」。フランス・ボジョレー地区のぶどうを使ったヌーボー=新しいを意味する新酒のワインです。実はそのヌーボー、練馬区にもあるんです。「練馬ヌーボー」は区内で収穫されたぶどうのみを使って作られたワインで、毎年11月に解禁されます。その練馬ヌーボーを製造する東京ワイナリーは、2014年に都内初の醸造所として設立され、都内のぶどうを中心におよそ100種類のワインを製造しています。機械に頼らず、ぶどうをつぶすところから搾るところまで、時間をかけて人の手で進めていきます。 越後屋さん:「潰した時も潰れるところと潰れないところが出てくるんですよね。味わったときにちょっとでも果実感が残ったりとか、やわらかいこの味わいになるというのが好きなので、そういう風な形で作っている」 さらに、「ろ過」をあえてしないことで、従来は取り除かれてしまうぶどう本来の皮のうま味や苦みが残った奥深い味わいに仕上がるということです。ワインづくりを行う越後屋さんは、当初土地が限られている東京ではワイナリーの開業は難しいと指摘されていました。 越後屋さん:「みんなから絶対できないって言われたんですよね、東京でワイナリーなんて。畑もあって、広くて、っていうのは東京にはできないんでしょという感じの」 区内の農家などと連携してワインに合うぶどうを厳選し、今では年間およそ1万本を製造するまでに拡大しました。 越後屋さんは、ワインを通じて東京の農業を盛り上げていきたいと話します。 越後屋さん:「ここ数年どんどん宅地化していき(農地が)残っていない。段々なくなっていっちゃうのがやっぱりもったいない。農地があって、農作物がこんなにすぐ新鮮に食べられるのはすごい幸せなことだなと思うので、そういったものを残していきたいなと思うので、私たちができることを少しずつやっていきたい」 練馬区に都産都消にこだわるワイナリーがある一方、足立区には世界を目指すビールの醸造所があります。足立区に去年オープンした「あだちブルワリー」です。作っているのは「あだちビール」。そのこだわりも同じく原料です。 伊藤さん:「うちのビールの一部では、もち米を使っています」 曹:「もち米を使うんですか?」 伊藤さん:「足立区内で収穫されたお米になります」 マイルドさを出すために、足立区産のもち米を原料に加えています。もち米を作る田んぼを訪ねてみると… 曹:「ありました、田んぼです。こんな住宅街に田んぼがあるなんて驚きですね」 住宅街の中に現れたのは、面積およそ1000平方メートルの水田です。こちらでは農家の小宮さんが「こがねもち」というもち米を栽培しています。ビールに使いたいとの話を受けた当初はイメージがわかず戸惑いもあったという小宮さん。しかし出来上がったビールから自身の作るもち米の風味が強く感じとれ、驚いたといいます。 小宮さん:「うちの育てているもち米にこれまでとは全く違う可能性を与えてくれるなと思って出し始めた。稲という植物そのままの香りをうまく出してくれた」 実際にあだちビールを曹記者が飲んでみると… 曹:「おいしくて飲みやすいです。中国で飲んでいたものは香りが派手で味わいが濃いタイプのものが多かったのですが、こちらはすごく柔らかくて優しい味ですね」 あだちブルワリーは、日本を訪れた外国人にも飲んでもらえるよう、浅草などへの出店も検討しているということです。 伊藤さん:「多くの皆さんに足立ビールを知ってもらえるように、2号店3号店と店舗を広げていきたい。世界的な品評会で評価をいただけるようなおいしいビールを作っていきたい」 (2025年11月19日「Wake Up 7」より)

https://s.mxtv.jp/mxnews/amp/mxnews_46513120.html

続きを読む