「労働時間の規制緩和」外国人はどう見る?【TOKYO LENS】
TOKYO LENS(東京レンズ)です。日本のニュースや課題を海外の人たちはどのように見るのか、中国出身の報道部記者が、世界から多くの外国人が訪れる東京で聞きました。 今回取材したテーマは、労働時間の規制緩和です。高市総理が先週、上野厚生労働大臣への指示書で「労働時間規制の緩和検討」を求めたことが明らかとなり、物議を醸しました。この緩和の動きに関して、一昨日開かれた厚生労働省の分科会で、労働者の代表として出席した連合の冨高副事務局長が、働く仲間から強い懸念の声が上がっていると指摘しました。国内で賛否が分かれる労働時間の規制緩和について、東京を訪れる外国人はどのように見るのか、そして自国の状況についても聞きました。 曹記者:「労働時間の規制緩和についてどう思いますか」 スウェーデンから:「良くないと思います、働きすぎは体に良くない」 「人生は仕事だけのためにあるわけではない」 「休むことで仕事の質も上がるので、規制の緩和は良くないと思います」 オランダから:「緩めるべきだとは思わない、オランダでは週32~36時間くらい働くのが普通で働き過ぎないようにしている、仕事と生活のバランスの方がずっと大事だと思う、日本もどうやってそのバランスを取るかを考えるべきだと思います」 反対の声がある一方で―― アメリカから:「物価高であれば、労働者の生活を支えるために労働時間の規制を緩和すべきだと思います」 カナダから:「選択肢を与えることが大事だと思います、つまり残業を選ぶことができることです」 曹:「なぜ選択肢を与えることが大事だと思いますか」 「人それぞれ違うからです。誰もがそれぞれ異なる価値観を持っています。従業員の中には残業してもっとお金を稼ぎたい人もいれば、家に帰ってゆっくり休みたい人もいます。どちらの希望も叶えられるような選択肢を与えるべきです」 続いて、自国の状況も聞きました。 曹:「あなたの国では労働時間に制限がありますか?」 スウェーデンから:「はい。業種によって多少違いはありますが、1日の労働時間は通常8時間が上限です」 「隣国フィンランドでは1日6時間勤務の企業もあり、世界で最も幸福な国とされています。その考え方に影響を受けて、将来スウェーデンでも6時間勤務を目指そうという動きがあります」 ドイツから:「『働くのは好きだけど長時間は好まない』という価値観が強くなっていて、週あたりの時間は減らす方向です。そうしないと人材が集まりません。若い人たちは自由時間を好むので、企業は人材獲得のために、かつては約束しなかったような条件まで提示する必要があります」 「将来的にはロボットなどで作業がもっと楽になれば余暇ももっと増えるかもしれません」 アメリカから:「政府が残業時間の制限していません。残業は1.5倍の賃金になるため、企業によって予算が限られているので40時間しか働かせない場合が多い」「多くのアメリカ人は経済的な理由から残業をしたり複数の仕事を掛け持ちしたりしています」 インドから:「法的な制限はないように感じます。実際に私たちは長時間働いています。多くの人は1日約10時間働きます」 曹:「それは長すぎると思いますか」 「長いと思いますが現実はそうなんです。人ぞれぞれですが、多くの人はおそらく自由よりもお金の方が重要だと思うでしょう。そして夢や目標を持つことも大事ですよね。誰だって平凡で終わりたくはない、もっと成長したいと思うものです。成長するために一生懸命働くことです」 (2025年10月29日「Wake Up 7」より)
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