八丈島の台風被害から1カ月が経過「島特産のシイタケを育てる農家」取材
TOKYO MXの報道記者が注目したニュースを深掘り・生解説する「ツイセキシャ」のコーナーでは、台風被害から1カ月が経過した「八丈島の復興に向けた取り組み」についてです。八丈島ではいまだ一部で断水が続くなど生活のほか、産業にも大きな影響が続いているのが現状です。今回私は島で特産のシイタケを育てる農家を取材しました。 ハウスのビニールは剥がれ落ち、空調設備も使用不能になった現状を説明してくれた八丈島特産の「うみかぜ椎茸」を生産する農家の大沢さん。台風によって2つある農場のうち1つは全壊し、もう1つも断水によってシイタケを育てる菌床が使えなくなったといいます。被害から1週間が経過した先月中旬大沢さんは、事業の継続に頭を悩ませていました。 大沢さん「とりあえず方向性を決めなくてはいけない。要はここをやるかどうか継続できるのかどうかというところから考えて、これを直すのに相当お金がかかる」 大沢さんは10年以上をかけて八丈島の潮風を受けた「うみかぜ椎茸」を開発・生産し島内外のホテルやクルーズ船のレストランに卸すなど、シイタケは新たな島の特産品として少しずつ人気を集めてきました。また6年前には島内でシイタケ料理を提供する飲食店をオープンし移住者を従業員として受け入れるなど人口が減少する島の中で、活気あふれる場所となっていました。おととしにも新たな店舗をオープンするなど、シイタケを通じた島おこしを進める中起きた今回の台風被害…大沢さんは事業を継続すべきか苦悩していましたが台風被害から3週間が経ったとき再び取材すると・・ 大沢さん 「小規模事業者は全く事業資金の借り入れをせずに進むのも難しい話なので、過去の借り入れに今回の災害融資の借り入れが乗っかってくる」 事業再開を目指して融資ではない「現金の支援」を求める気持ちを語ってくれました。 大沢さん 「すごく都合のいい話なのかもしれないですけど、いわゆる真水の投入ですね。こういった形をしていただかないと」 一方、八丈島出身でクラウドファンディングの事務局の伊藤さんは「共感を支援につなげてほしい」と呼びかけています。 伊藤さん 「共感した方に直接支援できる仕組みだと思いますので、まず八丈島全体でこんな事業者がいっぱいいるんだとこんな頑張りたい人たちがいっぱいいるんだと。ネガティブな情報が今多いので共感していただけたら、ご支援いただければいいなと思っている」 大沢さんもシイタケ農場の復興のためこの取り組みに参加しました。しかしシイタケの生産が止まっているため返礼品はありません。それでも開始から1週間あまりで300万円以上が集まり、全国から温かい声が寄せられています。 大沢さん 「このクラウドファンディングを立ち上げて、そこで全国の皆様にお願いして、少しでもうみかぜ椎茸、思い入れのある八丈のこのシイタケを復活させていただきたい」 支援の輪は広がり、きょうまでに7事業者に集まった金額は1500万円以上に上っています。また島として「今回のピンチをチャンスに変えたい」と新たなプロジェクトも始動しています。 一方、人材不足や資金繰りの悪化など島内の事業者から困りごとを聞き取って集めた掲示板サイトを運営する伊藤さん。 伊藤さん 「今回の災害があって、たまたま亡くなった方がいらっしゃらないので、このままなんとなく復旧できてしまうとああ八丈島頑張ったね、青ケ島頑張ったね、元に戻ったねでなんとなく流されてしまうかもしれない。これをしっかり今のうちに街づくりに反映させていく必要がある」 困っている事業者と解決できる事業者同士をつなげ復興の先に島がさらに発展していくことを目指しています。 伊藤さん 「たまたま今回八丈島ですけど、他の東京の島々でも災害がいつ起こるかわからない。そういう時にぱっと横の関係で助け合えるような、そういう1つのモデルになればいい」
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