外国人に人気の「はんこ」漢字に対応も
外国人記者の視点で日本の魅力や課題をお伝えするTOKYO LENSです。取材するのは中国出身で中国語、日本語、英語を話す報道部の曹蒙記者です。きょう取り上げるのは…「はんこ」です。日本では以前、書類のやりとりや手続きにおいて多くの場面でハンコが必要で日本はハンコ文化が根付いていると揶揄された時期もありましたが、近年はデジタル化などとともにその文化も薄れつつありますこうした中、はんこの魅力を外国人が見直し人気を集めていますその現状を取材しました。 日本で初めて確認されたはんこをご存じでしょうか?今から2000年前、中国の皇帝が九州に存在していたという国の王を認め寄贈した金印です。権威の象徴だったはんこは月日の流れとともに庶民にも広まり、日本で多くの書面に意思表示や身分証明として押すことが定着しました。 日本人:「大きい契約になると、実印というイメージが強いです」 日本人:「サインだとカジュアルな印象が、日本人だとあるかもしれない。(はんこは)覚悟みたいなものが感じられる。はんこだと握りしめたりもできる」 しかし、はんこ文化のない外国人に話を聞いてみると… Q:「日本人がどのような時に使うかわかりますか」 アメリカから:「ナイトクラブに入るとき?」 Q:「サインするときは?」 アメリカから:「ペンです。」 ポーランドから:「見たことがありません。押していいですか?(腕に押す)これは日本独特のサインのようなものです」 多くの外国人は「はんこ」に馴染みがなく、使い方が分からないといいます。なぜ、はんこは日本で独自に広まったのでしょうか。はんこ店の全国組織の会長によりますとその背景には日本人の名前を大事にする国民性があるのではないかと話します。 会長:「武士道の『名こそ惜しけれ』という言葉がありますけど、やはり自分の名前に恥じるような行動をすることはしないという、やっぱり名前をすごく大切にするという国民性から広まっていった」 日本で伝統的に培われてきたはんこ文化。大きな転換点となったのは、2020年に当時の河野太郎行政改革担当大臣が掲げた行政手続きの「押印の廃止」です。そしてDX化なども相まって国内の「脱はんこ」の動きが加速しました。 日本人:「ペーパーレスにしましょうというので、減ってきていると思う。昔ははんこ持ってきてくださいって言って押していたが、今はもうなくなった」 日本人:「社会人になってまだ数年の方とかははんこの使い方を知らない世代もあるのかなっていう」 日本では使う機会が少なくなっているはんこ。品川区で大正時代から続くはんこ店では当時、売り上げが日に日に減っていたといいます。 店主:「2020年から2021年にかけて、だんだん少なくなってきてゼロに。毎日メールかFAXで注文がそれまでガンガン来てたんですけど、今日は来ない今日も来ない」 そんなはんこ店では近年、外国人客が増えてきているといいます。 店主:「今はもう7:3で(7割)外国の方」 実際に買いに来た人に話を聞いてみると… アメリカから:「ポンと押したら自分の名前が出てくるなんて」 アメリカから:「アメリカとは対照的で便利だと思う。アメリカではペンで署名するが、ここでははんこを押すだけで済むから速いですよね」 さらに、はんこへの注目の高まりを後押ししたのが海外の人の名前を漢字にあてはめて作るデュアルハンコという商品です。例えば、「舞う」に、共にという意味の「倶」と書いて「マイク」など。店主が漢字の持つ意味を丁寧に説明しどの字にするかを選んでもらいます。 こちらニュージーランドから来たロナルドさんは自身の名前を漢字四文字でこう表しました。特に「ル」に対応した「流れる」という漢字が気に入ったと話します。 ニュージーランドから:「あるものから次のものへスムーズに移動することを意味します。流れを作り出そうという姿勢が名前から感じ取れますね」 一つの音に対して多いもので10以上の漢字が用意されているため思いを乗せた「自分だけのはんこ」を作れる点がお土産として好評だといいます。 ニュージーランドから:「漢字には深い意味と歴史があります。同じ音でありながら異なる意味を持つということを教えてくれました。日本語は文脈を理解することが重要ですね」 (2025年5月23日放送「おはリナ!」より)
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