東日本大震災から12年「被災地に音楽を」日本フィルの思い

(文化 - 2023年12月22日 19時15分)

東日本大震災の発生から、12年となる今年、震災の記憶を次世代につなげるためのシンポジウムが開催されました。登場したのは、12年間被災地でコンサートを続けてきたオーケストラのメンバーでした。 先月(11月)、新宿区で開催されたシンポジウム…東日本大震災の記憶を風化させないよう、福島や都内の信用金庫などが企画しました。そのイベントに今年初めて出演したのが、日本フィルハーモニー交響楽団のメンバーです。杉並区に拠点を置く日本フィルハーモニー交響楽団は、1956年に創立したプロのオーケストラで国内外で公演を行っています。 日本フィルは、「被災地に音楽を」をテーマに震災の発生直後からこれまで339回のコンサートを開催してきました。 日本フィルハーモニー交響楽団常務理事後藤朋俊さん:「我々楽団員80人くらいいるがほとんどの楽員が被災地に行って演奏している」 常務理事の後藤朋俊さんは当時ヴィオラ奏者として被災地で1回目のコンサートを開きました。当時の光景は忘れられないと話します。 後藤さん:「すごく天気のいい日避難所行ったら天気と裏腹にシーンとして」「とても避難所に足を踏み入れるような雰囲気ではなかったので玄関先で楽器を弾いて中から人々が出てきて聞いていただいた」「今でこそ音楽や芸術は人々の癒しになるということですが実際1回目の時は怖かった」 あれから12年、最初は避難所などで被災者の癒しなどをテーマに行われていたコンサートですが、最近では新しい街づくりのため、人と人とを結びつける目的で開催されるようになっているといいます。先月(11月)、福島県双葉町で行われた日本フィルのコンサート…震災や原発事故で甚大な被害を受けた双葉町には、今年、タオルに使用される糸の製造工場がオープンしました。コンサートは新たにできた街のシンボルの中で開催され、多くの人が集まりました。 後藤さん:「生の演奏を聴く機会が全然なかったので(と言われ)それは本当によかったなと思いました」 後藤さんは、339回の活動を振り返り復興は道半ばであると感じています。 後藤さん:「この一回一回に終わりのないものがあるという残念な結果ではある逆に、本当は復興が終わっていればいいそれだけ大変なことが起きたということを我々再度、考えないといけないと思う」 ※日本フィルは、来月(1月)、岩手県・陸前高田市でコンサートを開催するということです。※

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