東京・昭島市「まちづくり条例」制定巡り反発も…データセンターとの“共生” 政治の役割は
AIの普及などでデータセンター需要が高まる中、TOKYO MX『堀潤 Live Junction』ではこれまで、東京・日野市や昭島市、江東区などで進む大規模な建設計画に対し、環境への影響や情報開示の遅れに不安を募らせる周辺住民の切実な声を届けてきました。こうした中、東京都がルール作りに乗り出す方針を打ち出しました。今回は『急増するデータセンター建設 政治の役割は?』をテーマに、巨大インフラと地域社会の共生へ向けて今、政治に何が求められているのか考えます。 2月26日、東京・昭島市役所前に集まったのは、市内で進むデータセンターを含む大規模開発に懸念を抱く住民たちです。住民らは「市民のための街づくりを行え」などと抗議の声を上げていました。昭島市では現在「GLP昭島プロジェクト」と名付けられた総面積およそ59万平方メートルにも及ぶ、国内でも特に大規模な開発計画が進んでいます。敷地内にはデータセンター8棟と物流施設3棟が建設されることになっていて、住民からは交通量の増加や膨大な電力消費、自然への影響などを懸念する声が上がっています。これに対し事業者側は、敷地内に安全な道を整備することや太陽光パネルの設置、広大な公園を設置するなどして対応するとしていますが、住民側と事業者側の溝は埋まっていません。 こうした状況の中で昭島市が進めているのが、開発のルールを定める「まちづくり条例」の制定です。本来、住民側にとっては大規模開発による環境や生活への影響を防ぐためにも追い風となる動きのはずですが、住民の怒りの矛先は「行政の進め方」に向けられていました。住民らは「日野市や国分寺市などは市民との話し合いを基に、3年も4年もかけてまちづくり条例を丁寧に作った。ところが昭島市は今度の議会だけでまちづくり条例を仕上げようとしている」と訴えます。住民側は市が進める条例について十分な議論が行われておらず、その中身は開発を規制するものになっていないと主張しています。一方、市は年末年始の1カ月間でパブリックコメントを行い、まちづくり条例に対する市民の意見を募集しています。 <各地で紛糾“データセンター建設”東京都が指針策定へ 問われる“共生”ルール> こうした中、東京都がデータセンターの問題の解決に乗り出しました。東京都の小池知事は2月18日の都議会で「事業者と住民の円滑な対話のポイントや、事業者との調整の目安となるような好事例を整理したガイドラインを年度内に策定する」と述べ、都道府県では初めてとなる「データセンター建設のガイドラインの策定」を表明しました。事業者側と地元自治体との連携方法などを指針として示すもので、都の担当者は実際に連携で建設に至った「好事例」をガイドラインに盛り込み、実効性を高められるよう工夫するとしています。 3月中の策定を目指すという東京都のこの動きについて、情報ネットワークが専門で日本データセンター協会で副理事を務める東京大学の江崎浩教授は「せっかく良い産業を作っていくものに対して理解がきちんと進まない、あるいは適切ではない動きをする事業者が出ないように(業界団体内でも)きちんとしたガイドラインを作っていこうとしている。それに東京都が業界団体から直接言わずともやるというのは、私としては感謝する」と話し、東京都の動きを評価しました。その上で、内容については難しい調整が必要になるとして「注意点やリスクの方を出し過ぎると結局、誘致できないということになる。それは東京都にとってみると税収のチャンスが消えることになるので、実は長い目で見れば住民にとってプラスにならない。ただ、今住んでいる人や次世代に負の遺産を残すことはやってはいけないので、そういう意味でしっかりとした環境整備やリスクマネジメントをやることが大事」と指摘しました。 データセンター需要が増加する中、国や自治体が住民の不安をどう取り除くのか、そして企業とどう折り合いを付けるのか。いま、政治の在り方が問われています。
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