日本の「首都圏一極集中」外国人はどう見る?
日本のニュースや課題を海外の人たちはどのように見るのか、中国出身の報道部・曹蒙記者が世界から多くの外国人が訪れる東京で聞きました。取り上げるのは「首都圏の一極集中」です。日本では首都圏に人口が集中することで、都心部の交通機関の混雑や地方の過疎化などが問題となっています。外国人にこの現状についてどう思うのか、そして、自身の国の現状についても聞きました。 日本が抱える課題、「首都圏の一極集中」。総務省が4月に公表したデータによると、日本の総人口に占める割合は人口1400万人を誇る東京都が約11%となっていて、神奈川、埼玉、千葉を含めた東京都市圏の人口は約30%となっています。 曹記者:「こちら渋谷スクランブル交差点の近くにあるスターバックスですが、多くの観光客が人の多さを写真に収めています」 東京の人の多さの象徴ともいえる渋谷スクランブル交差点。多くの外国人が訪れる渋谷で、東京都市圏の一極集中について聞きました。 Q:東京に人が集中しすぎている問題についてどう思いますか? チェコから:「都市間や駅間の移動、特に地下鉄がとても混んでいて問題だと感じました。例えば渋谷は常に混み過ぎています。もう少し人の流れを分散させた方がいいかもしれません」 アメリカから:「人口の30%以上が東京圏に住んでいるなんて本当にすごいと思う。日本は中央集権的で都道府県にあまり自由がない。地方自治体にもっと権限があれば人口の偏りも改善できるかもしれません」 ブラジルから:「人が多すぎて電車に乗るのは非常に難しい。(日本は)新しい地域の開発を推進する戦略を立てたり、他の都市に移動を促進するような企業への税制免除措置を導入したり、在宅勤務を促進したりすることが最善だ」 一極集中による交通機関の混雑や人口の過密に対し、地方への権限移譲の必要性などを指摘する声が多く聞かれました。 続いて、自国の状況についても聞きました。日本よりも深刻な状況を抱えている国があります。韓国です。ソウルを中心とした首都圏には全国民の半数ほどにあたる2700万人が住んでいます。韓国からきた男性は、都心と地方のインフラの格差を指摘します。 韓国から:「仕方ない部分もあるのかなと思う。やっぱり都心の方がインフラが整っているから、みんな東京や韓国ならソウルに行きたがるのが普通のことだと思うので、それを解決するには地方でもインフラを整えたらいいじゃないかと思う」 フランスから来た男性は、フランスでも日本と同じ状況があるとしながらも、自身の国の取り組みについて話してくれました。 フランスから:「パリは人口密度が高いです。例えばフランスで仕事探すなら、パリで見つけるのが一番簡単で、博物館やコンサートに行きたいときもやはりパリに行く必要がある。(フランスでは)TGV(高速鉄道)を使いパリから各地の都市へより簡単に行けるようになり、さらにコロナの影響でフランスでは在宅勤務が普及した。今多くの人がパリを離れ、郊外で生活しながら在宅勤務で仕事を続けている」 続いて話を聞いたのは、ブラジルから来た男性です。ブラジルでは一極集中を回避するため、首都をリオデジャネイロからブラジリアに移転させました。男性によると、その後も分散を進める様々な政策が行われているといいます。 ブラジルから:「20年以上前から、地方都市での雇用創出や開発に取り組んでいる。ただし、政治や法律の複雑さから、企業の移転がなかなか進まない。そして、在宅勤務をもっと普及させたことも有効だ、コロナ後に多くの市民が小さな街に住み、週に2~3回は市内に働きに来る」 世界的に進む首都圏からの分散。一方で外国人からは、集中することによるメリットもあるとの指摘も…。 アメリカから:「メリットは東京にイノベーションが生まれやすいこと。いろんな素晴らし人、いろんなタイプの人が集まって、自分の夢や人生の目標を追い求めたり、外国人と交流したり、世界市場ともつながりやすい。(Q:つまり、重要なのは「バランス」ですね?)まさにそうです、東京だけではなく、他の都道府県にもイノベーションが必要で、地方にも創造的に問題解決をする力が求められる」 フランスから:「集中することでイノベーションや新しいアイデアは生まれやすいが、過度な集中は生活の質が下がるので、バランスが大事です
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