高校生の就職活動 現状と課題 最初の応募は“1人1社のみ”
8月に入り学生たちは楽しい夏休みを過ごしている…と思いがちですが、実はこの時期こそ忙しくする学生たちがいます。それが就職活動を行う高校生です。あまり知られていない高校生の就職活動の現状と課題、そしてそれをサポートする新たな動きを取材しました。 「8月に入り夏休み真っ只中ですがこの学校のこちらの部屋にはきょうも生徒たちが集まっています」 創立から123年の歴史を誇る都立墨田工科高校。夏休み期間にも関わらず複数の生徒たちが集まっていました。 「ここの部屋には求人票が沢山ありそれを見に来て自分の行きたい会社を選ぶ」「僕はあさってに会社見学があるので自分で考えた質問事項を手書きで書き写しています」 実は高校生の就職活動において8月は休んでいられない大事な時期…。高校生の就職活動が始まるのは7月で、生徒を採用したい企業がハローワークに申し込みを行い承認された求人票を学校に届けます。生徒たちはこうして集まってきた求人票から就職したい企業を探し来月から始まる面接に向けて準備を進めていくのです。 「普通の高校だと(夏休みは)遊んだりしてるかもしれないが自分たちは就職があるので/この期間は自分の進路、これからの生活を決めていくので頑張ってます」 大変なのは生徒だけではありません。進路指導にあたる先生たちもこの時期は休み無く働きます。 進路指導部の先生:「休みは無い/電話は基本鳴り止まない」 進路指導部の先生:「いただいた求人票の処理等も間に合っていない状況もある/本当に大変な時期」 特に作業量が多いのが企業から届く求人票の整理です。この学校ではきのう(2日)までに3550枚の求人票が届いていて一つずつ番号をつけたりまとめて表にしたりなど膨大な量の作業があります。さらに毎年100人以上いる生徒や企業側とのやり取りなど全ての対応を8人の先生で行っています。 都立墨田工科高校進路指導部 柳沢力也先生:「たくさん求人いただくが最終的に選ぶのは生徒本人 なるべく沢山の情報を生徒が見れるようにしてあげたい」 全ては生徒のために…そんな思いの中で先生たちが一番避けたいことがあります。それが…生徒と企業のミスマッチです。実は高校生の就職活動と大学生の就職活動には大きな違いがあります。東京都では高校生たちが9月の選考で受けられる企業は1人1社のみ。大学生のように内定をもらった複数の企業から行きたい会社を自由に選択することは出来ない仕組みとなっているのです。 柳沢先生:「就職ということで場合によってはこの後ずっと働くところを決めるということになる。ミスマッチが起こらないようになるべくしてあげたい」 こうした中、生徒と企業のミスマッチを少しでも解消しようとする動きも… 「こちらの会場ではこれから高校生の就職活動に関するイベントが行われるそうで沢山の高校生たちが集まっています」 6月に港区で開催されたのは高校生に向けたお仕事体験会です。警視庁や眼鏡メーカーのジンズ、靴メーカーのハルタなどあらゆる業界の企業や団体が出展し就職活動を始める前の生徒たちが色々な仕事を体験することができます。 参加した高校生:「こういう会社が作ってるんだなと初めて知ったので感謝している」「沢山仕事があって支えてくれているんだなと学んだ」 体験会を開催した企業はこうした行事を通じて高校生たちが仕事について触れる機会を増やし企業と生徒のミスマッチを減らしたいと話します。 「世の中にこういう仕事があるということをリアルに体験できたり気付いたりする場作りをサービスしていきたいし、高校生に寄り添って支援していきたい」 ///// ここからは取材した大澤記者に聞きます。高卒採用の一番の特徴である1人1社制ですが Q:ミスマッチ解消のために単純に複数応募できるようになれば良いとも思えるんですがいかがですか? A:私も取材を始める前にはそう考えていたんですが…取材してみると、そう一筋縄ではいかない事情が見えてきました。この1人1社制はそもそも学業が中心である生徒たちが就職活動が負担にならないようにできたルールで東京都ではこのルールがここ数十年以上続いています。生徒は1人1社制であることで…応募書類を書く手間や面接の練習も最低限になります。それにより負担を減らし、学業に専念できると…では一方で、複数企業から選べるようになったらどうなのか…色々な企業を調べ面接を行うことで選択の幅が広がることになりミスマッチが解消される可能性も広がりそうです。
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