なぜ? 広がる全国市町村のアンテナショップ

(地域・まち - 2019年09月18日 18時30分)

 東京都心にいながら全国各地の特産品が購入でき、地域の情報に触れられる「アンテナショップ」──。最近は県単位ではなく、市町村の店が続々と都内にオープンしています。なぜ市町村のアンテナショップの出店が相次いでいるのか、取材しました。  千代田区有楽町の東京交通会館には、全国各地のアンテナショップが14軒集まっています。このうち3軒は市や町が営業する店舗です。2018年10月にオープンした長崎県平戸市のアンテナショップの店内には、市内で取れた海産物や地元産の野菜、名物のカステラなどが所狭しと並びます。  長崎県のアンテナショップが中央区日本橋で営業しているにもかかわらず、市が独自に店を出したのはなぜでしょうか。その理由について平戸市は「県のアンテナショップでは、県内の多くの市町村が出品を希望するため、自治体別にみると商品の販売期間やスペースが制限されてしまうと判断。自分たちの裁量で販売したい」として、市独自での出店を決めました。  独自の販路拡大を求めるアンテナショップがある一方、別の理由で店を出したところもあります。世田谷区にアンテナショップを構えた山形県河北町が出店した背景にあるのは「過疎化」です。河北町の人口はここ10年でおよそ2割減少していて、商業施設の縮小や企業の経営環境の悪化が問題となっています。町になんとか人を呼び込もうと目を付けたのが、都内でのアンテナショップの開店でした。店内では都民と地元の人の交流を図るツアーを案内するなど、店は東京と町をつなぐ情報発信の最前線となっています。  販売ルートの拡大、過疎化対策などさまざまな理由で市町村単位での出店が加速する中、さらにそれを後押しする背景もあるようです。それが「ふるさと納税」の存在です。自治体に寄付をした人に返礼品として地域の特産品などが贈られるふるさと納税制度をきっかけに、地方に目を向けた東京の消費者が各地のアンテナショップを訪れるようになっているようです。  全国の市町村が運営するアンテナショップは、今後も都内に増えていくかもしれません。

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