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映像制作の流れとは?
各工程のポイントから
担当者まで徹底解説

2022年12月26日 更新

この記事では、映像制作の基本的な流れについて解説します。テレビ番組やCMといった放送用の映像制作は専門性が高く、興味はあっても流れを詳しく把握できていない、という方は多いのではないでしょうか。

ここでは映像制作について、企画が発足する段階から最後の編集までの一連の流れを解説していきます。最後に映像制作の注意点や、映像制作の流れを詳しく勉強する方法についてもご紹介します。映像制作に関心のある方はぜひ参考にしてみてください。


映像制作の一連の流れを簡単にご紹介します。映像制作の一連の流れは、大きくは3つの工程に分かれます。準備段階にあたる「プリプロダクション」、撮影や素材を用意する「プロダクション」、編集や仕上げにあたる「ポストプロダクション」の3工程です。

「プリプロダクション」は撮影準備のため、企画の内容や全体の方針を決めていく段階です。企画や構成だけでなく、台本の作成やロケハンなどもこの段階で行われます。

「プロダクション」は撮影そのものを行う段階です。実際にカメラで撮影する映像だけでなく、CGやイラストなどの制作もこのプロセスに含まれます。

「ポストプロダクション」は、撮影後に映像を仕上げる段階です。実際の放送用に映像をつなぎ合わせ、音声を入れたり映像を調整したりといった作業を行います。

以上の3つの工程を経て、放送用の映像が完成します。撮影前の準備作業が大切|プリプロダクション

プリプロダクションの工程について詳しく解説します。プリプロダクションは撮影前に行う準備作業全体を指し、多くの工程が含まれています。

映像全体を左右するプリプロダクション

プリプロダクションのポイントは、この工程の質により、できあがる映像全体の質が左右される、という点にあります。プリプロダクションで行われる準備作業には、次のような作業が含まれます。

  • 企画立案
  • リサーチ
  • スタッフや出演者の選定
  • スケジュール設定
  • 台本の構成
  • 機材の検討
  • ロケハン

プリプロダクション段階での作業に不備があると、その後の工程の全てに影響があります。どのような映像を制作するのかを決め、どのような過程を踏む必要があるのかを決定する大切な工程です。

プリプロダクションには、プロデューサーやディレクターを含め、多くのスタッフが携わります。クライアントがいる場合には、クライアントとの打ち合わせを交え、要望も聞きながら準備を進めていくことになります。

以下では、プリプロダクションで行われる作業の具体的な内容をいくつかご紹介します。

映像全体を決める企画|プリプロダクションの流れ1. 企画・リサーチ・構成

ディレクターをはじめとするスタッフが企画を練ります。「どのような映像を制作するのか」をまず明確にしなければ、その後必要な作業も具体化できません。また、「何のためにその映像を制作するのか」も大切です。集客や認知拡大のためのCMや、視聴率を得るためのテレビ番組など、映像制作の目的は様々です。目的と内容を明確化する企画段階が、その後の作業の方向性を決めます。

クライアントがいる場合、この企画段階では意見の擦り合わせや予算の見積りなども行われます。クライアントがどのような映像を作りたいのかを具体化し、必要なコストや内容について吟味していきます。

企画が練られたら、必要な情報をリサーチし、映像の構成を作成します。目的とする映像を制作するために何が必要か、どのような素材を用意する必要があるのかをリサーチし、映像制作全体のプランを練ります。

映像の骨組み|プリプロダクションの流れ2. 台本の作成

作成された企画と構成をもとにして、映像の骨組みとなる台本を作成します。どのような映像を制作するのか、より具体的に台本の形にしていきます。キャストのセリフや表情などの演技に加え、挿入するテロップや素材、ナレーション、撮影の詳しい方法などを細かく指定し、後の「プロダクション」工程で行われる作業を反映していきます。

台本制作と並行して、映像制作全体のスケジュールや予算、人員の調達といった必要事項を検討していきます。映像制作全体をより良いものに擦るためには、事前に準備や綿密な検討が欠かせません。

プロダクションの準備|プリプロダクションの流れ3. 撮影準備

台本が完成したら、その台本どおりの撮影を実施するための準備を行わなければなりません。撮影場所の確保やスケジュールを調整し、撮影や音声の収録が問題なく行われるような準備が必要です。

撮影前に現場を訪れて撮影の事前チェックをする、いわゆる「ロケハン」もこの段階で行われます。撮影そのものを滞りなく実施するために、撮影準備も入念に行わなければなりません。撮影場所の騒音の有無や光の明るさチェック、撮影許可の有無などを事前に確認する工程です。


「プロダクション」は撮影そのものを実施する段階です。実際の撮影に加え、CGやイラストなどの素材も制作する段階です。

プロダクションのポイントと担当者

プロダクション工程は、キャストに加えカメラマンをはじめとする技術スタッフやスタイリスト、ADやディレクターなどのスタッフが参加して行われます。クライアントがいる場合は実際に撮影現場に立ち会うこともあります。その場で映像をチェックしてもらい、イメージ通りの映像かどうか、意見をもらえるのがメリットです。

プロダクション工程では、台本の指定をふまえて必要な素材を漏れなく用意しなければなりません。撮影する順番やタイムスケジュールなどを管理しておく必要があります。

香盤表によるスケジュール管理|プロダクションの流れ1. 撮影

プロダクション工程のメインは、台本に沿った映像の撮影です。撮影では、台本やロケハンの情報をもとにした、滞りのない現場運営が求められます。

撮影の際、ロケ当日の詳細なタイムスケジュールを管理するために使われるのが「香盤表」です。香盤表には、撮影の順番や登場するキャスト、衣装などが記載されており、撮影にミスがないようにスタッフ全員が把握できる仕組みになっています。香盤表を使ったスケジュール管理をきちんと行わないと、撮影に滞りが生じたり、必要な素材が撮影できていない、といった事態にもなりかねません。

プロダクションの流れ2. 素材制作

イラストや写真、CGなどの素材が必要になる番組も多数あります。撮影を担当する制作会社がそのまま用意することももちろんありますが、3DCGなど、より高度で専門的な技術を要する素材については外注する場合もあります。

ただ素材を集めるのではなく、後の工程で編集しやすいようにデータを変換したり、バックアップをとったりといった作業も必要です。撮影された映像を含め、プロダクション工程で用意される素材は膨大な量に及びます。特に最近では、映像のデータ容量も大きくなっているため、管理や編集にも手間がかかります。データを整理し、編集しやすい状態にしておくのも大切な作業です。


ポストプロダクション工程では、プロダクション工程で撮影・作成された素材を元に、番組やCMの形に仕上げていきます。台本に沿って映像をつなぎ合わせて必要な素材を挿入し、色味や音声の調整などを行います。

ポストプロダクションのポイントと担当者

ポストプロダクションでは、構成や台本通りの映像に仕上げられるかどうかがポイントとなります。せっかく構成や台本を入念に作成し、それに沿って撮影が行われていても、最後の段階でつなぎ方に不備があれば台無しになってしまいます。台本通りに映像を仕上げなければなりません。

ポストプロダクションは、ディレクターをはじめとする技術者によって行われますが、最近ではポストプロダクションを専門的に請け負っている企業もあります。

映像編集による仕上げ|ポストプロダクションの流れ1. EED(映像編集)

ポストプロダクションの主要な作業の1つが、EEDです。EEDとは、「Electrical Editing」の略称で、主に映像の編集工程を指します。撮影された映像や素材をつなぎ合わせるだけでなく、エフェクトを入れたり、適切なCGを挿入したり、といった作業が含まれます。

映像全体を、企画や台本に合ったものに仕上げていくための大切な作業です。映像をただただ組み合わせたり挿入したりするのではなく、視聴者に訴求力のある映像、飽きさせない映像を作るための工夫が求められます。

一般に、ポストプロダクションは「仮編集(オフライン編集)」と「本編集(オンライン編集)」に分かれます。仮編集は、簡単な機材を使う映像の組み立て作業を指し、本編集はスタジオなどで行われる最終的な編集を指します。

ポストプロダクションの流れ2. MA(音声編集)

ポストプロダクションの主要な作業には、映像編集だけでなく音の編集も含まれます。MAは「Multi Audio」の略称で、音に関する細かい調整を指します。

セリフやナレーション、効果音やBGMを適切な音量バランスで挿入したり、収録された音からノイズを除去したり、といった作業が主に行われます。その映像に必要な音声の全てを調整し、完成した映像に合わせていきます。ポストプロダクションにおける最終工程と言えるでしょう。


映像制作の流れには様々なステップがあり、それぞれのステップを正確にこなさなければ後の工程にも影響が生じてしまいます。

ここでは、映像制作を円滑に進めるための注意点をいくつかご紹介します。

管理や整理整頓を正確に行う

1つ目の注意点は、管理や整理整頓を正確に行う、という点です。映像制作では、細かいスケジュールや撮影した映像の管理が必須です。映像制作には、「スケジュールを管理せずに撮影を進めていたら、時間内に必要な映像を撮影しきれなかった」「撮影した映像の管理を怠った結果、データを紛失してしまった」といったリスクもあります。

正確で円滑な映像制作のためには、スケジュールや素材の管理、整理整頓が欠かせません。

スタッフ間の連携を密にする

2つ目の注意点は、スタッフ間の連携を密にする、という点です。映像制作には多くのスタッフが携わります。キャストや技術スタッフ、スタイリストやディレクターに加え、外注のクリエイターなど、多くのスタッフが連携しながら進めていかなければなりません。

スタッフ間の連携がとれていないと、撮影に不備が生じたり、出来上がった映像が当初の構成とズレていたり、といった事態になりかねません。多くのスタッフが携わる映像制作だからこそ、連携を密にとり、共有事項に漏れがないような体制を作ることが大切です。

要件を正しく把握する

3つ目の注意点は、映像の要件を正しく把握する、ということです。映像制作には目的があります。プリプロダクションの段階で特に大切な注意点ですが、どのような目的で映像を制作し、どのような要素が必要なのかを事前に把握しておかなければなりません。

出来上がってから、クライアントが求めていた映像とは違う、といった事態にならないよう、どのような要件を満たした映像を作らなければならないのかを把握しておくことが大切です。クライアントがいる場合は、映像制作の過程に立ち会ってもらい、映像を適宜チェックしてもらう、といった対応も効果的です。


この記事では、映像制作の一連の流れを解説してきました。映像制作は、企画や構成を行う「プリプロダクション」と、撮影や素材制作を行う「プロダクション」、主に編集を行う「ポストプロダクション」の3段階に大きく分かれます。いずれの段階にも重要な作業が多数ありますが、特にプリプロダクションは制作全体を左右する重要なプロセスです。

映像制作には、管理や整理整頓、スタッフ間の連携など、注意すべき点も多数あります。行き当たりばったりに撮影・編集をしていては、よい映像は出来上がりません。準備や企画、管理をきちんと行ってはじめて、質の高い映像は出来上がります。

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