コロナ禍でもヒット連発の「地球の歩き方」、その理由は“攻めた企画”

2022.07.21(木)

06:50

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。「フラトピ!」のコーナーでは、攻めの企画で人気を博している「地球の歩き方」(学研プラス)の編集部をキャスターの田中陽南が取材しました。

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。「フラトピ!」のコーナーでは、攻めの企画で人気を博している「地球の歩き方」(学研プラス)の編集部をキャスターの田中陽南が取材しました。

◆地球の歩き方、多摩地域版がコロナ禍に異例の大ヒット!

1979年の創刊以来、約120タイトルを発行している海外旅行のガイドブック「地球の歩き方」。コロナ禍の影響を受け売上が激減するなか、今までになかった攻めの企画で大ヒットが生まれています。

そこで今回、田中は「地球の歩き方」編集長の宮田さんと編集部・プロデューサーの斉藤さんに話を伺いました。

まず斉藤さんが取り出したのは、今年3月に販売された「地球の歩き方 東京 多摩地域」(2,020円)。

これに田中は「『地球の歩き方』って海外旅行の本というイメージがあったんですが多摩地域版……かなりピンポイントで攻めましたね」とビックリ。

これは、都内23区と島しょ部を除く30の市町村で構成されている多摩地域に特化したガイドブックで、当該地域屈指の観光地「高尾山」ではビギナーからリピーターまで誰でも登山が楽しめるよう徹底的にコースをガイド。

また、三鷹市では定番の「ジブリ美術館」だけでなく、この地で暮らした文豪・太宰治のゆかりの地を巡るお散歩コースなども紹介。その他、立川と八王子と町田の3市の街比較などマニアックな企画もあり、とにかく多摩地域の魅力をたっぷり詰め込んだ450ページ超えの1冊に。

なぜ多摩地域限定の本を作ったのか聞いてみると「“多摩の情報が足りない”という声をたくさんいただいて、多摩地域に特化した本を1冊作ってしまおうかと話が上がりました」と斉藤さん。

実はこの本が発売される1年前、地球の歩き方シリーズ初の国内版として「東京」を出版。それがコロナ禍にも関わらず約9万部を売り上げる異例の大ヒット。そこで、2匹目のどじょうを狙って「地球の歩き方 東京 多摩地域」が作られました。

しかし当初、役員からは多摩地域よりも沖縄や北海道が先じゃないかという声が上がるなど、全く期待されていませんでしたが、フタを開けてみると地元の人たちがこぞって買い求め、最初の売上は東京版の約3倍を記録したそうです。

◆人気ミステリー・マガジンや漫画ともコラボ!

世界版でも攻めの姿勢は崩さず、世界中の奇妙な岩や巨大な岩をテーマにした「世界の魅力的な奇岩と巨石139選」(1,760円)や、101の国と地域のカレーやスパイス料理だけを紹介した「世界のカレー図鑑」(1,980円)といった、従来の地球の歩き方では紹介しきれなかった雑学や豆知識を集めた旅の図鑑シリーズを発行。

「世界の魅力的な奇岩と巨石139選」を目にした田中は、「有名な観光スポットに目が行きがちですけど、岩から見るという攻めた姿勢も面白いかもしれないですね」と興味を示します。

さらに、世界の不思議なパワースポットを紹介する「世界197ヵ国のふしぎな聖地&パワースポット」(1,870円)、リーダーたちの経歴などを解説した「世界の指導者図鑑」(1,650円)など、もはや普通のガイドブックの域を超えたマニアックな専門書のようなものも。

そんななか、編集部・プロデューサーの池田さんが“究極に攻めた本”と田中に差し出したのは、ミステリー・マガジン「月刊ムー」とコラボした「地球の歩き方ムー ~異世界(パラレルワールド)の歩き方~」(2,420円)。

「地球の歩き方」と「ムー」、双方の視点から世界中の遺跡を紹介しており、「どちらが正しいということはなく、何を信じるかは読者次第というコンセプトの本」と池田さん。今年の2月に発売したばかりですが、すでに11万部以上を売り上げる大ヒットとなっています。

また、7月14日には漫画「ジョジョの奇妙な冒険」とコラボした「地球の歩き方 JOJO ジョジョの奇妙な冒険」が発売に。これは物語の舞台となった世界の「ジョジョ」スポットを名場面とともに紹介しています。

◆斬新なアイデアにZ世代も興味津々

「地球の歩き方」のこうした取り組みに「面白い! 全部読みたい」とキャスターの堀潤は拍手を贈ります。

アフリカの紛争問題を研究する東大院生の阿部将貴さんも「すごいですよね」と驚きつつ、「多摩の情報が欲しいというユーザーベースではなく、住んでいる地元の方からもっと載せろという要望が来て作る、その制作までのプロセスが独特で面白い」と感心します。

一方、タレントで起業家の加藤ジーナさんは、都心の情報はSNSなどにたくさん上がっているものの「多摩地域に行こうと思ってもなかなか情報が少ない」と言い、こうした本の価値を再確認。そして、「パワースポットとかが気になっていて、コロナ禍でずっと家にいて、疲れが溜まっているので旅行に行けるようになったらそういうところを巡るのもいいし、カレー図鑑もみんな好きだから、ちょうどいいところを取っているのが面白い」とその絶妙な視点も評価。

堀は、現代社会においてはニーズも多様化するなか、「それに応えるのがデジタルではなく、本というのが面白い」と感想を口にします。

「東京新聞」経済部記者の大島晃平さんは「ネット検索 意外と不便」と主張。「観光地などに行っても意外とスマホで検索しても出てこないお店などが結構ある。ネットは広告がたくさんついているものとか、企業が推したいものばかり出てきて、自分が知りたいものは意外と調べにくい」と言い、一方でこうした本は「ちゃんと情報が網羅している」とメリットを挙げます。

こうした攻めた企画の本が売れている背景として、「意外と今までのネット検索が不便だということの裏返しでもあるのかな」と分析していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag

 

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