ウクライナ侵攻におけるロシアの苦闘の本質に寺島実郎が迫る

2022.04.30(土)

11:00

TOKYO MX(地上波9ch)で毎月第3日曜に放送中の教養情報番組『寺島実郎の世界を知る力』。
4月17日(日)の放送では、一般財団法人日本総合研究所・多摩大学学長の寺島実郎がウクライナ戦争の50日について分析しました。

TOKYO MX(地上波9ch)で毎月第3日曜に放送中の教養情報番組『寺島実郎の世界を知る力』。
4月17日(日)の放送では、一般財団法人日本総合研究所・多摩大学学長の寺島実郎がウクライナ戦争の50日について分析しました。

◆ウクライナ侵攻から50日…ウクライナの悲劇とロシアの苦闘

今年2月24日にロシアがウクライナへ侵攻してから50日が経過。ロシアは「首都陥落と体制転換」を図ったとみられるが思惑は挫折。

この50日間に、ロシアは軍事・核大国だが経済小国にすぎないことが露呈。戦略核弾頭を世界一所有しながら、経済基盤は極めて脆弱で、世界GDPにおけるロシアのシェアは約1.6%に過ぎない。

ウクライナ首都近郊から後退したロシアによる大量虐殺の痕跡が残ると言われているが、ロシアにとっての恐怖のシナリオは、「戦争犯罪」法定による断罪ではないか。アメリカはICC=国際刑事裁判所を越えて、プーチン大統領の戦争犯罪を糾弾すると伝わっており、これがロシアにとって悪夢になると寺島は推測。

そして、長期化する経済制裁はロシアの国民生活への深刻なインパクトをもたらしている。ロシアは輸出の約85%がエネルギーなどの一次産品であり、日用品や生活雑貨などは海外に依存していることから、産業として付加価値を創出する力がなく、ロシアの産業力は著しく限界があると寺島は指摘。

但し、想定外であるのがルーブルの動き。2月から3月にかけて8割の下落をつけた後、4月に入って回復している。これはプーチン大統領が「非友好国」に指定した国・地域に対しロシア産天然ガスの取引代金をルーブルで支払うように命じる大統領令に署名したため。それをプーチンの裏技と寺島は指摘しているが、決してルーブルの通貨としての価値向上を示している状況ではないとする。

ロシアへの経済制裁は効果があるとするが、同時に世界に「資源高」の悪影響を及ぼし、世界はスタグフレーション=景気後退化の物価高騰に見舞われている。欧米はインフレを抑えるため金融引き締めを図り、これにより金融政策過剰依存からの出口なき日本は「恐怖の円安」に向かいつつある。

◆顕在化するユダヤ・ファクター

寺島は、ウクライナの深層を理解するキーワードに「ユダヤ」と「コサック」を挙げ、ウクライナが異様なまでの耐久力を示している理由のひとつが、「ユダヤ・ファクター」であることを提示する。

この50日を注意深く確認すると、「ユダヤ・ファクター」が顕在化してきている。

国際世論やメディアに対する影響力を見ると、ユダヤ系大統領であるゼレンスキーは、西側各国に加えてイスラエルへ国会演説を行っている。また、アメリカのユダヤ系有力者が世界でウクライナ・キャンペーンをバックアップしている情報が伝わっている。

また、ウクライナ側の停戦条件には「ウクライナへの多国間安保」が提案されている。国連五大国とトルコの他にイスラエルを加えるという案である。なぜイスラエルが入るのかを考えていただきたい。さらに、グローバル・ユダヤネットワークがドローン等のDX支援=ソフトパワーのバックアップをしていると指摘する。
 

より詳しい解説は、YouTubeに公開された番組の動画でご覧いただけます。
また、ウクライナ危機は3月20日に放送した番組の動画でも解説しています。
ぜひご視聴ください。

後編の記事も併せてご覧ください。
 

<番組紹介>
『寺島実郎の世界を知る力』
寺島実郎が「全体知」を踏まえて、正しく議論するために、本当のことを知り、考える番組。我々が直面する史上最大の世界的構造変化を、歴史/政治/経済/国際情勢/テクノロジーなど寺島文庫に集まるあらゆる最新情報、その全体知から紐解いていく。寺島実郎が深く考え、未来へ提言する。

<番組概要>
番組名:寺島実郎の世界を知る力
放送日時: 2022年4月17日(日)11:00~11:55<TOKYO MX1> 毎月第3日曜放送

出演:寺島実郎(一般財団法人日本総合研究所 会長/多摩大学 学長)
番組ホームページ:https://s.mxtv.jp/variety/sekaiwoshiruchikara/

『寺島実郎の世界を知る力』は、無料動画配信サービス「エムキャス」で、全国からリアルタイムで視聴可能です。また、見逃し配信も実施します。
「エムキャス」はアプリまたはPCサイトから無料で視聴ができます。詳しくは「エムキャスとは」のページをご覧ください。

番組全編はYouTubeでも公開中。番組ホームページYouTube TOKYO MX公式チャンネルよりご覧いただけます。

 

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