日本は孤独大国…政府が初の実態調査 全世代の4割が「孤独感ある」

2022.04.19(火)

06:50

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。4月11日(月)放送の「ニュースFLASH」のコーナーでは、政府が初めて行った「孤独・孤立の実態調査」について議論しました。

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。4月11日(月)放送の「ニュースFLASH」のコーナーでは、政府が初めて行った「孤独・孤立の実態調査」について議論しました。

◆日本が孤独大国であることが明らかに…

新型コロナウイルスの流行に伴い、深刻さが増している孤独や孤立の問題について、政府が初めて実態調査をしたところ、「孤独感がある」と答えた人が約4割に上りました。また、孤独と感じている人は高齢者よりも20代・30代が多いことがわかりました。

孤独と感じるきっかけについては「1人暮らし」、「家族との死別」、「病気など心身の重大なトラブル」、「転校・転職」などの順に。調査は全国の16歳以上の2万人を対象に、2021年12月時点での状況を尋ねたもので、政府は調査を分析し、今後の政策に反映させる方針です。

日大文理学部 助教の大澤正彦さんは、こうしたデータを見るときに「母集団のバイアスに注視すると、よりデータの意味、事実の全体像が見えてくる」と指摘。

この場合、母集団は“アンケートの回答者”で、バイアスとは“偏り”のこと。大澤さんは、「今回どう解釈すべきかといえば、孤独で苦しみ、エネルギーが出ない人が、本当にアンケートに回答したのかというところ」と疑問を投げかけます。

そして、アンケートの対象者2万人については、回答者にはある程度のバイアスがかかってしまうことが統計の限界としてあるとし、「実際に数値として出ているものが、実はもっと多いかもしれないということを考慮しながら見たほうがいい」と注意を促します。

大澤さんの指摘に対し、今回の統計調査に政府の委員として参加したNPO法人「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星さんは「大変重要なポイント」と言いつつ、この調査で最も伝えたいこととして「日本は孤独大国である」と主張。日本人の約40%、3人に1人が孤独であることがわかり、イギリスの20%に比べるとおよそ倍とあって危機感を募らせます。

◆今回の調査が孤独・孤立対策の一丁目一番地

大空さんによると、今回の統計調査には3つの指標があり、そのうちの2つが孤独に関する“直接質問”と“間接質問”。前者は「あなたは孤独ですか?」と直接的に問うものですが、「日本ではスティグマがあり、すなわち自ら孤独を明かすことが難しい」と大空さん。そのため今回はもうひとつの指標として間接質問を設け、それは「あなたは孤独ですか?」とは聞かず、例えば「人付き合いがあるのか?」など間接的な要因から孤独感を測ったといいます。

そして、最後のひとつが孤立に関するもので、大空さん曰く、孤独・孤立を合わせて調査したのは実は世界初。さらに、「今回は世界的にも信頼されるような統計になったと思う」と自信をのぞかせ、「これが孤独・孤立対策の一丁目一番地。ここからエビデンスに基づいて対策をしていきたい」と今後の展望を語ります。

また、これまで孤独・孤立にまつわる問題は、日本では主に高齢者の問題とされていましたが、今回の調査で20代、30代の若年層の孤独感が高いことが明らかになり、「これまでとは違うところに力を入れていくべきことがこの調査でわかったということは非常に意義が大きい」と大空さん。

一方、株式会社ネオレア代表の朝比奈ひかりさんは、20代・30代だけでなく、さらに若い中高生の孤独感の高さを危惧。「中高生がどのように孤独を感じているのか、あとは孤独を感じている子を大人や友達などがどう助け合っていくのかが課題」と言います。

この2年間、大学で孤独に苦しんでいる学生と向き合ってきたという大澤さんも「孤独に苦しむ子たちに対し、全体として何ができるのかも大事だし、目の前のひとりに対して何ができるかを真剣に考えながら今後もやっていきたい」と意欲を見せます。

◆孤独とは社会的な関係の不足から生じるもの

大空さん曰く、孤独は「社会的な関係の不足から生じるもの」と言われ、それを乗り越えるためには社会的な関係の量と質を充足させる必要があると説明。しかし、「無理に人と繋がれという話では決してない。インターネットでもいいし、友達でも家族でも誰でもいいので、自分が“相性が合う”と思う人と繋がってほしい」と訴えます。

また、「自分に少し余裕があると思ったら、ぜひ声をかけてもらいたい」とも。例えば、知り合いを何人か思い浮かべ、しばらく連絡を取っていない人に連絡してみること。大空さんは「そうすることで社会やコミュニティのなかから孤独を感じる人が徐々に少なくなってくると思う。一人ひとりができることはある」と言います。

最後に大澤さんからは「本当に苦しんでいる人は声さえもあげられないという世論があるが、それはどうなのか」との疑問が。というのも、過去に孤独に苦しんでいる相談者に対し「本当に苦しんでいる人は声すらあげられないから、君はまだ大丈夫」と話している人を見かけたそう。

これにキャスターの堀潤は、「本人は励ましで言っているのかもしれないが、それはないんじゃないか」と反応。大澤さんも「その感覚自体どうなのか」と違和感を覚えたようで、大空さんは「それがまさにある種のスティグマ」と指摘。

「相談窓口には、声すら上げられないぐらいに苦しい方々が来る。だから我々NPOが声を上げないといけない」とその役割を示しつつ、「今回の調査はまさに我々NPOがそうした世論があるからこそ政策として作った背景もあるので、どんどん広めていく必要がある」と話していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag

 

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