政府が企業の賃上げを要請…一律アップで危惧される“負のスパイラル”とは

2021.11.22(月)

06:50

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。11月16日(火)放送の「FLAG NEWS」では、政府が行った“賃上げ要請”について取り上げました。

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。11月16日(火)放送の「FLAG NEWS」では、政府が行った“賃上げ要請”について取り上げました。

◆萩生田経産大臣が業績好調な企業の賃上げを要請

萩生田光一経済産業大臣は、経団連の十倉雅和会長と会談を行い、「景気の回復は業種によって差が開いている」との認識を示した上で、業績が好調な企業の賃上げの促進を求めました。その後の会見で、十倉会長は「賃金引き上げのモメンタム(機運)は、しっかり出していく」と言明。さらには、企業の利益が従業員に還元されるようリーダーシップをとっていくと表明しました。

また、萩生田経産大臣は、中小企業の賃上げが進むよう大企業は中小企業との取引で価値に見合った適正な支払いをすることが重要だと述べました。

◆単なる賃上げだけでは日本の成長は期待薄?

法律事務所ZeLoの弁護士・由井恒輝さんが注目するこのニュース。由井さんは「国が(企業との)間に入って賃上げ交渉をする、“官製春闘”なんて言われるが、これはその一環」と指摘しつつ、「一律で賃上げし、底上げみたいなところが重要である一方で、今は多様化し、人材も徐々に流動的になっているので、もう少し業種別に考えたほうがいい」と言います。そして、「例えば、エンジニアを重点的に(賃金を)上げるなど、成果に応じた報酬の上げ方についても議論してほしい」とも。

というのも、とりわけエンジニアに関してはアメリカに行ったほうが多くの収入が得られるため、由井さんは海外への人材流出を危惧。「企業に一律で賃上げ、底上げを依頼するだけではもう成長しない。(そうすると)人材は次々に流出し、税収も失われていく。日本の国力がどんどん下がる一方で、ベースは上がっているように見えて、結局は日本が全然成長しない状況が不安」と杞憂します。そして、最終的には「成長がストップすれば、結局一律の賃上げもできなくなる、そうした悪循環が生まれる」と危機感を募らせます。

一方、アメリカでは人材の流動性が大きく、欧州は産業別の労働組合が強いことに触れ、「そういう意味では、重要な職種については、どんどん賃金が上がっていくような仕組みになっている」と由井さん。そして、そうなると人材も流出せずに国は成長していくものの、「日本はまだそこが弱い部分」と明言。「一律アップだけを言っていると、最終的には返ってくるのではないか」と案じていました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag

 

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