アカデミー賞で巻き起こるNetflix旋風…劇場映画&配信の最新事情

2021.04.17(土)

06:50

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」。3月19日(金)放送の「オピニオンCROSS neo」では、フリーアナウンサーの笠井信輔さんが“映画業界の現状”について述べました。

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」。3月19日(金)放送の「オピニオンCROSS neo」では、フリーアナウンサーの笠井信輔さんが“映画業界の現状”について述べました。

◆米映画業界…コロナで劇場公開を断念し、配信へ

先日、第93回アカデミー賞のノミネーションが発表されましたが、笠井さんが驚いたのは「Netflix旋風」。Netflix作品が16作品38ノミネートされ、なかでも「マンク」は今回最多の10部門にノミネート。「劇場に行かなくても観られる映画が、今年一番アカデミー賞で評価が高いということ」と言います。

一方で、大手映画配給会社は新型コロナウイルスの影響を受けており、今年1月の時点で、アメリカでは35%の劇場しか営業しておらず、大作映画は次々と公開延期に。例えば、「007」最新作は昨年2月に公開予定でしたが、今年4月に延期となり、さらに11月に延期となりました。笠井さんによると。本作の製作費は270億円。その巨額の製作費が1年以上も寝かされ、回収できないことから「会社が傾きかねないような状況」と解説します。

そこで映画配給会社も大きく舵を切り、例えば、ディズニーは一昨年の秋から定額制の動画配信サービス「Disney+ (ディズニープラス)」を開始。実写「ムーラン」の劇場公開を断念し、昨年9月に「Disney+」だけで配信。さらに、昨年12月にもディズニー&ピクサー映画「ソウルフル・ワールド」を独占配信。そして、3月5日から公開されているディズニー映画最新作「ラーヤと龍の王国」は劇場公開+配信という形をとりました。

「ムーラン」は月額料金+追加料金、一方「ソウルフル・ワールド」は追加料金なし。日本では770円を払えば「スター・ウォーズ」シリーズや「アベンジャーズ」シリーズとともに観ることができます。そして、「ラーヤと龍の王国」は劇場公開+配信(追加料金あり)と試行錯誤が続いていますが、結果的に「Disney+」の有料会員は1年4ヵ月で1億人を突破。笠井さんは「ディズニーは劇場で公開しなくても月に約770億円が入る。製作費は賄える」と強調。

◆このままでは映画館がなくなる可能性も…

となれば、他の映画会社も当然追随し、笠井さんは「ここが激震」と危惧。というのも、大手ワーナーブラザーズがアメリカで今年公開予定の新作映画を全て動画配信サービス「HBO MAX」で劇場公開と同時にネット配信すると発表。これにより、例えば「ゴジラ」最新作もネットで観られるようになるわけですが、「『ゴジラ』をスマホで観るってどうなる? スマホで観て文句を言わないでほしい!」と思わず立ち上がる笠井さん。さらには、「シネコンの大きな画面で大きな咆哮を聴いていてほしい。それこそが映画!」と声を大にします。

こうした映画会社の動向を受け、劇場側はディズニーに対し「劇場公開を中心にしてほしい。このままでは劇場が潰れる」と要望書を出しているそう。これは日本でも同じで、劇場にとってはまさに死活問題。笠井さんは「今後どうなっていくのか、その流れは非常に大事。映画文化を守るというのはどういうことなのか。会社を守りたいし、劇場も守りたい。難しい」と苦悩します。

タレントでラジオDJのサッシャさんは、「文化として映画館はなくなりようがないと思う」と言いつつ、「いろいろな事情で外に出られない人もいるから、両立していくことが、今後の多様性に繋がる」と言います。一方、キャスターの宮瀬茉祐子は映画館用の作品など「付加価値が付いた作品が生まれてくるのでは」と推測すると、笠井さんも「IMAXや4DXなど、映画館もそこに行かないと体験できない方向にも流れていく可能性がある」と示唆していました。

番組では、視聴者に「最近、映画を観に行きましたか?」というテーマで生投票を実施。結果は以下の通りです。 

◆最近、映画を観に行きましたか?
1週間以内に行った……240票
1ヵ月以内に行った……210票
半年のあいだに行った……516票
この1年、行っていない……1,920票

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00(※番組終了)
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

 

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