“ワクチン新時代” コロナワクチンのキーワードは「mRNA」

2020.12.11(金)

06:50

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。11月25日(水)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、化学講師の坂田薫さんが“コロナワクチン”について述べました。

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。11月25日(水)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、化学講師の坂田薫さんが“コロナワクチン”について述べました。

◆コロナワクチンのキーワードは「mRNA」

新型コロナウイルスのワクチンを共同開発しているアメリカ製薬大手ファイザーとドイツのバイオ企業ビオンテックは、アメリカ食品医薬品局にワクチンの緊急時の使用許可を申請すると発表。これは従来と異なる新タイプのワクチンで、高い効果が報告されているものの長期的な効果や安全性は未知数な面もあります。

今年のノーベル化学賞はゲノム編集技術に関する研究者が受賞し、バイオテクノロジー時代の到来を予感させましたが、「早速、私たちに直接関わるところでバイオテクノロジーの技術が活かされようとしている」と坂田さん。

“新しい時代のワクチン”と言われているコロナワクチンのキーワードは、「メッセンジャーRNA(mRNA)」。人間のDNAに刻まれている遺伝情報は「体を作っているタンパク質の設計図」で、mRNAはそのコピーに相当するもの。坂田さんは、「毎日体のなかで設計図のコピーが作られ、そのコピーのデータを元にタンパク質が作られている」と言います。

そもそもコロナウイルスは表面に“スパイク”と呼ばれるタンパク質の突起があり、これが細胞にくっつき体内に侵入してきます。このスパイクのタンパク質の設計図(=mRNA)を使ったものが、今回の新タイプのワクチン。これを体のなかに入れると設計図に基づきスパイクが作られ、人の免疫システムが反応し、抗体を作ってウイルスを撃退。しかも、この一連の流れは記憶され、「実際にコロナウイルスが入ってきたときにスパイクを攻撃して、感染を防ぐことができる」と坂田さんは解説。

◆コロナワクチンは人類の大きな第一歩

坂田さんは、まだまだ課題はあるとしつつも、今までのワクチンとの違いとして挙げる大きなメリットは2つ。1つは「完成までの時間が短いこと」。これはmRNAワクチンの研究が進んでいた背景があることに加え、今まではウイルスを入手し、培養&弱体化した後、そこからタンパク質の一部を取り出してワクチンを作っていましたが、今回のワクチンはウイルスを入手する必要がありません。設計図さえわかれば、地球のどこにいてもワクチンを作り始めることができると坂田さん。

ちなみに中国・武漢で発生した最初のコロナウイルスの設計図は、中国の研究者によって1月10日の時点でネットに公開され、その約40日後にはコロナワクチンのサンプルが出来上がっていたと言われているとか。

さらに、新しいワクチンはウイルスを体に入れるわけではなく、mRNA自体はもともと人間の体のなかにあるものだけに「安全性が高い」ともう1つのメリットを紹介。

最終的に坂田さんは、「ウイルスも自然災害も人類が成長するための試練」と主張。今回のワクチンが承認されると、これは史上初のmRNAワクチンとなり、「ワクチンの新時代が始まる。コロナウイルスだけでなく、がんなどさまざまな病気に応用されていく」と目を輝かせます。そして、「コロナをきっかけに人類は大きい一歩を踏み出したということができる」と言い、「ワクチンだけでなく、日常生活においても今持っているものを活かしてどのように乗り越えていくのかが試されているんじゃないか」と話していました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

 

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