海外では厳罰も…日本では法律化されていない“盗撮罪”の必要性

2020.11.16(月)

06:50

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。10月22日(木)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、弁護士の三輪記子さんが“盗撮の罪”について述べました。

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。10月22日(木)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、弁護士の三輪記子さんが“盗撮の罪”について述べました。

◆誰でも被害に遭う可能性がある“盗撮”

女子選手が競技会場で性的な意図で写真を撮影されたり、SNSに淫らな文章や画像を拡散されたりする被害が拡大していることを受け、JOC(日本オリンピック委員会)が選手の環境を守るため、競技横断的な対策に乗り出すことがわかりました。日本スポーツ協会や全国高等学校体育連盟などと連携を目指し、連名で被害防止の声明文を出すなど具体策の検討に入るということです。

三輪さんによると、現状では盗撮を規制する条例はあるものの、“盗撮罪”として処罰する法律はないそうで、「問題になっているのはアスリートだけじゃない」と言います。というのも、日本の盗撮事犯の手段のトップはスマートフォンで、検挙場所は主に駅構内やショッピングモールをはじめとする商業施設。そんな検挙状況に「誰でも被害に遭う可能生がある」と指摘します。学校や職場でも問題になっているなか、特に深刻なのが航空業界なんだとか。

盗撮の取り締まりはしているものの、法的には都道府県条例に留まっているため各自治体によって要件が違うと三輪さん。また、処罰も各県で違う上、条例による規制なのでとても軽く、何より飛行中は各県を跨がるため条例が適用できない場合もあるそうで、三輪さんは「国の法律レベルで規定したほうがいい」と主張します。

◆盗撮撲滅のため法律レベルでの規制を!

では、なぜ“盗撮”の罰則を法律化できないのか。三輪さんが挙げる理由の1つは、どう条文を規定するかという問題。場所などの要件を規定することは大事ですが、「あまり枠を広くしてしまうと、例えば屋外での撮影行為全てが“アウト”となると規制し過ぎになってしまう」と危惧。しかし、盗撮被害者はとても怖い思いをし、撮影されるようなところに行くこと自体が恐怖であり、行きたいところに行けなくなる、したいことができなくなるなどの可能性もあるだけに、法律レベルでの規制を改めて強調します。

なお、海外では法律で規制されている国が多く、例えばアメリカやイギリスでは窃視罪等にあたるケースも。なかには罰則が重い国もあり「他国で盗撮したら、そこの国で処罰されるかもしれない」と注意を促します。

最後に三輪さんは、盗撮罪の創設に向け検討すべきことに言及。まずは盗撮手段もスマートフォンがトップのため、「時代(テクノロジー)に応じた迅速・適切な法律改正」。さらには撮影行為だけでなく「掲載行為も処罰対象にすべき」とも。なかには競技写真を一部だけ拡大して掲載する人もいるそうで、「そういう行為も処罰していかないと被害はなくならない」と話します。

もう1つ大きな問題は、「日本は性犯罪処罰の法定刑が低いこと」。これも同時に変えていかないといけないと言い、現行では盗撮をやられっぱなしの状況とあって、「被害回復しやすい制度も合わせて考えていかなければならない」と必要性を訴えていました。

キャスターの宮瀬茉祐子は、週刊誌などでアスリートや女性アナウンサーの盗撮が特集として組まれ、金儲けの対象になっていることに疑問視。誰でも被害者になる可能性があるため、三輪さんは違法行為であることのさらなる周知を求めます。一方、慶応大学特任准教授でプロデューサーの若新雄純さんは、スマートフォンなど新しいテクノロジーが生まれた際に、それを危険と遠ざけるのはなく、「そういうものを共存させることが大事。そして、問題を考えること」と自身の考えを示していました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

 

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