TOKYO MX（地上波9ch）朝のニュース生番組「モーニングCROSS」（毎週月～金曜7:00～）。12月17日（火）放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、介護福祉士の上条百里奈さんが“認知症”について見解を述べました。

◆認知症の行方不明者は年間約17,000人

広島県北広島町のグループホーム・松籟荘で9月、入所していた認知症の80代女性が出入り口から1人で外出し行方不明となり、翌日に水死体で発見されていたことがわかりました。施設運営者は、人の出入りがあるとブザー音で知らせるセンサーの電源を切っていたとして、遺族に謝罪するとともに再発防止策を講じたそうです。

「うちの施設でも、センサーや暗証番号のカギも付けていても、日中帯に外出してしまうことは今までにも何件かあった」と上条さんは言います。それは、自分で出ていくこともあれば、外部の人の出入りが激しい際に紛れて出てしまうこともあったそう。「どれだけやっても出てしまう人はいるし、出て行く権利もある……そうなると、施設だけで考えるのは難しい。町全体、社会全体で支えていかないといけない問題」と訴えます。

現在、認知症の行方不明者数は年々増え、2018年は16,927人。そのうち500人ぐらいは見つかっていないそう。ほとんどは行方不明になった当日に見つかるものの、なかには2年以上見つからないというケースも。また、現場では身元不明の高齢者を介護することもあると言います。

◆認知症の高齢者にGPSは付けるべき!?

上条さんは今、在宅の高齢者をサポートする事業所にいるそうですが、彼らは外出することが自由なだけに、本人の了解を得てカバンやポケット、靴などにGPSを付けているそう。

過去に、埼玉県入間市では認知症の方を判断するため、該当者の爪にQRコードを付けていたそうですが、これは「人権侵害」と反対意見が多く、「結局広まらなかった」と上条さん。それを聞いたMCの堀潤が「何をもって人権とするか……」とつぶやくと、弁護士ドットコムGMで弁護士の田上嘉一さんは、「僕は自分が認知症だったらGPSを埋めてもらっても構わない」と宣言。

上条さんもGPSを付けることに抵抗はないそうですが、以前ハワイの施設を見学した際、高齢者が首輪型のGPSを付けている姿を見て、「動物、犬扱いしているのではないか」とゾッとしてしまったとか。しかし、話を伺うと「これがあると安心」と笑顔で答える方が多く「GPSも捉え方次第」と心改め、「そういった考え方が、日本でも広がってもいいのかな」と感じたそうです。

現在、全国の介護職の方々は認知症や高齢者の現状を世間に知らせるべく、外に出るよう心掛けているそうです。しかし、現実は厳しく、高齢者や車いすの方を連れていると、カフェや喫茶店で入店を拒否されることが未だにあるそう。

これには「それは駄目でしょ！」と驚きを隠せない堀。田上さんもあり得ないと憤り、「今後、超高齢化社会を迎える上で、社会全体でどう考えるか。人権問題もあるけれど、それによって得られる利益があり、それこそ行方不明になることが一番の人権問題。柔軟に考えていくべき」と主張します。

また、キャスターの宮瀬茉祐子は、認知症になってしまったら人権や本人の許可も判断できないだけに、「健康のうちに議論し、例えばドナーカードのようなものを持っておくぐらいのことが必要なのかな」と話していました。

番組では、視聴者に「あなたの身近に認知症の人はいますか？」というテーマで生投票を実施。結果は以下の通りです。

◆あなたの身近に認知症の人はいますか？
いる……1,074票
いない……1,326票

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＜番組概要＞
番組名：モーニングCROSS
放送日時：毎週月～金曜 7:00～7:59　「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者：堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト：https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter：@morning_cross