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皇居のお濠改善プロジェクト始動 生態系の再生目指して

(文化 - 2018年5月29日 18時30分)
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 水質が悪化した皇居のお濠(ほり)にかつての生態系を取り戻そうと、水辺環境の改善プロジェクトが本格的にスタートしました。

 国内外から多くの人が訪れる皇居の外苑に静かに水をたたえるお濠は、都心では貴重な水と緑の空間です。しかし外国人観光客も多く訪れる皇居外苑濠では、2020年東京オリンピック・パラリンピックを前に、水質の改善が課題となっています。皇居外苑のお濠では浄化施設の整備などによって、年々水質の改善はみられるものの、一部ではアオコや藻の発生で、元々生えていた水草類が育たない状態が続いているといいます。

 こうした現状を打破すべく、5月から始まった取り組みが「濠プロジェクト」です。三菱地所が環境省と連携し、民間企業として初めてお濠の希少な水草や生き物などの保全を進めることになりました。プロジェクトの第1弾として行われたのが生き物や水草の採取です。網やわなを使ってエビや小魚のほか、多くの水草が採取されました。

 こうして採取された水草などが保管されている場所を訪ねてみました。ビルの屋上に設置された樽の中には6種類の水草と10種類以上の生き物が太陽の光を受けながら育てられています。日本自然保護協会の藤田卓博士は「都内では皇居外苑濠の中にしかいない貴重な生き物も育てている」と解説します。中には環境省のレッドリストにも指定されている絶滅危惧種の水草「ツツイトモ」もあります。今回の取り組みを監修している藤田博士は、現在のお濠について「水質が悪いことと外来種がいることで、本来あるべき生態系ではないのが現状」と指摘します。

 一度なくしてしまった環境を取り戻すには、数十年という膨大な時間がかかるとみられています。藤田博士は「ここにしかいない生き物がたくさんいるので、それが未来永劫(えいごう)これからも続いていくような環境に、10年ぐらいをめどに戻せたらいい。個人的な希望ですが」と話します。絶滅危惧種などの新たなすみかを広げていくために、成長した水草や生物は今後、三菱地所が管理・所有するビルの人工池などに移して育てていくということです。

 環境改善に向けた研究で、お濠のあるべき姿を再現したという水槽を案内してもらいました。そこにはきれいな水の中、お濠本来の水草が生い茂り、小魚やエビの泳ぐ姿がありました。藤田博士は「伝統ある東京の自然を取り戻しているのだと楽しみに見守ってもらえる人が一人でも増えるといい」と話しています。

<取り組み拠点、増やす方針>

 お濠の水質悪化は玉川上水からの水が供給されなくなった1965年以降、慢性化していて、水質改善に向けた取り組みが環境省を中心に行われてきました。今回取材したプロジェクトでは今後、お濠の生き物や水草などの育成拠点を増やして、かつてのきれいな皇居のお濠の生態系を取り戻していきたいとしています。

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