豊洲移転が再び混迷…最終決定を延期 江東区が難色示す

(都政 - 2017年11月9日 18時30分)

 東京都の市場移転を巡って、移転先の東京・江東区が現段階での市場の受け入れに難色を示していることについて、市場業界が東京都への反発を強め、移転日を決める最終の議論が9日、中断されました。移転日を正式に決定する予定だった10日の会議も延期となり、事態は混迷を極めています。

 9日に開かれた会合は業界団体の幹部のほか、急きょ、市場を統括する東京都の村松明典市場長らも出席して行われました。

 会合では江東区が11月6日に発表した、豊洲市場の観光施設「千客万来施設」の整備が確定しない限り「市場の受け入れを再考せざるを得ない」というコメントが紹介され、業界側は「この状態では開場日を決められない」として、議論の中断と、翌日の10日に予定していた開場日を正式決定する会議の延期を決めました。

 東京魚市場卸協同組合の早山豊理事長は「いまの段階でわれわれとしてはとても開場日を決めるような状況ではない」、築地市場協会の泉未紀夫副会長も「このタイミングで出てきたことについては、業界みんなショック。(移転日を)いよいよ決めようかという段階で出てきたわけだから」と話しました。

 江東区は市場受け入れの条件として、東京都に観光施設の整備を求めてきましたが、小池知事が築地市場を再開発する方針を示したことを受けて、施設の事業者が撤退も視野に検討を進めています。

 業界側は「都は早く江東区との信頼関係を修復してほしい」としていて、移転日を決める会議を開催するめどは立っていません。

 これについて小池知事は「まだ活発な議論が続いているということで、10日の協議会は見送るという話を聞いた。これから都も江東区との丁寧な協議を続けて、市場の安全性の確保も含めて一つずつ進めていきたい」と述べました。

<江東区は不信感 混迷深まる>

 豊洲市場移転に再び一時ストップがかかることになり、東京都の小池知事にとって悩みの種が一つ増える事態となりました。

 もともと、市場の移転日を決めるに当たり、業界団体側は小池知事に「追加の安全対策工事と、専門家会議による安全確認を2018年7月までに完了することの確約」と「知事による安全宣言」の2つを要望していました。小池知事はこの要望に応え、9日の会議で正式に「2018年10月11日」の開場を決める予定でした。しかし、開場日の決定が持ち越しになったのは、豊洲市場がある東京・江東区が、受け入れに難色を示したためです。

 江東区と東京都は、市場の受け入れに当たって3つの約束を交わしていました。豊洲駅から東陽町駅を通って住吉駅までつながる「地下鉄8号線の延伸を含む交通対策」、そして「土壌汚染対策」、豊洲の市場機能だけでなく観光などを目的とした「にぎわい施設の整備」です。しかし、現時点でこの約束が達成されていないことに対し、江東区は危機感を抱いています。

 11月6日、江東区の山崎区長は「江東区はにぎわい施設を整備することが確定しない限り、市場の受け入れを再考せざるを得ないものと認識している」とコメントを発表しました。

 にぎわい施設の「千客万来施設」は日帰り温泉などを経営する「万葉倶楽部」が運営することになっていましたが、小池知事が築地にも何らかのにぎわいを呼ぶための再開発方針を示したことに対し、「採算が取れない」として撤退も視野に検討を進めています。

 豊洲市場移転に向けて動きが加速すると思われていましたが再び暗礁に乗り上げる事態に、小池知事が今後、どのように対応していくのか注目されます。

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