60年代初頭のケニア。幼いころからここに暮らすイギリス人の少女ジャッキーは、野生動物保護官の父が、母を亡くしたブッシュベイビー(子猿)の赤ちゃんを連れてきたとき、一目で気に入り育てることを決意する。マーフィと名付け育児に奮闘する彼女だが、ミルクを飲ませるのも一苦労の上に肺炎にかかってしまったり、元気になると夜行性の本領を発揮したりと悪戦苦闘。そんな中、やがてジャッキーの一家に帰国の日がやってくる。最初はマーフィと一緒にイギリスへ行くはずだったのだが……。
列車は止まり、事故は未然に防がれた。ジャッキーの冒険も終焉を迎えた。それから2週間後、いよいよマーフィとの別れのときが来る。次の日ジャッキーを乗せた飛行機は、思い出深いケニアの大地を離れるのだった。
対岸のアーサーとアンドルーが、ジャッキー達に気が付いた。だがアーサー達は列車が来ることを知らない。ジャッキーは手紙をくくったマーフィを、壊れた給水パイプの中を通らせ、アーサー達に知らせようとする。
決壊した線路の近くに流され着いたジャッキーとテンボは、線路の決壊を知らせるべく、大急ぎでヌディ駅に向かう。ところが、駅で二人を待ち受けていたのは、なんとあの密猟者の一人だった! 絶対絶命のピンチに…。
夜になって降り出した雨は止む気配がない。ケニアは雨期に入ったのだ。洪水になる前にヌディへ行けるよう、テンボはアトマニに丸木舟を借りる。ジャッキーはサフィナとの別れを惜しみながら、雨の中を進みだした。
一人で小屋に寝ていたジャッキーの前に突然ヒョウが現れた。ヒョウはテンボ達を見て逃げ出すが、大切な子牛が殺されていた。テンボとアトマニはヒョウ退治に出かけていくが、なぜかアトマニ一人が帰ってきた。
マサイの男はアトマニといい、牛を飼いながら妹のサフィナと二人暮らしをしていた。旅の疲れで倒れたジャッキーをみて、テンボはしばらくアトマニの家で世話になる。優しいサフィナはジャッキーを懸命に看病する。
迫る野火に追われて二人は必死で逃げ場を捜す。ちょうど現れた子象の力を借りて、危ういところで火を逃れた二人は、近くにあったマサイ族の小屋でしばし休むことにする。ところがそこに家主の男が戻ってきた。
ミッキーはこれ以上旅を続けるのは無理だった。ジャッキーとテンボは、ミッキーと密猟の証拠書類をクランクショーに託すと、またヌディに向かって歩き始めた。ところが二人の行く先に不穏に立ち昇る煙があった。
密猟者に捕らえられたジャッキーとミッキーは、テンボが必ず助けてくれると信じて待っていた。翌日、とうとうミッキーは熱を出してしまうが、飛行機で探しにきたクランクショーとテンボの活躍で無事助け出される。
キリマンジャロが彼方に見えた。ヌディまでもうすぐだ。そんな時林へ入ったミッキーが、ワランガ族の放った矢に当たってしまう。しかもミッキーを看病しているジャッキーの前に、あの密猟者が立ちふさがった。
ジャッキーのやり方は厳しすぎると、こっそりマーフィにえさを与えるミッキー。しかしマーフィは次第に本来の力を取り返していった。一方、ジャッキー達を付け狙う中に、サバンナに住むワランガ族が加わった。
ジャッキーはマーフィにえさをとる訓練を始めた。ところが人からえさをもらうのに慣れたマーフィは、自分からえさをとるのを怖がる始末。早く野性を取り戻してほしいジャッキーは、えさを与えないことにする。
密猟者達はテンボだけではなく、ジャッキーも狙っていた。警察と密猟者の両方から追いかけられているジャッキー達だったが、川が浅くなってきたため、カヌーを捨てて陸に上がる。そのとき象の大群がやってきた!
ジャッキー達はカヌーで川をのぼっていった。ワニやカバに遭遇するたび大騒ぎするミッキーにジャッキーもうんざりするが、捜索の目をくぐり抜けて前進を続けていた。一方、アーサー達もジャッキーの捜索に加わる。
密猟者はテンボがつかんだ密猟の証拠を奪い返そうとしているようだった。偶然再会したミッキーを仲間に加えて、ジャッキー達は一路ヌディへ向かうことにした。ヌディに行けば父の知り合いの保護官がいるのだ
頼りにしていた少佐は旅行で留守だった。仕方なく二人は村に行くが、そこでテンボにジャッキーを誘拐した犯人として逮捕状が出たと知る。驚くことに警察の背後にはいつかの密猟者の姿があった。
テンボに再会したのも束の間、イギリス行きの船は出港してしまう。ジャッキーとテンボは、ひとまず近くのヴィピンゴ村にあるローズ家の元別荘に向かい、アイアランド少佐に助けを求めることにした。
許可証がないとマーフィが捨てられると思ったジャッキーは、意を決して船を降りると、マーフィを逃がす場所を探して走り回った。ところがマーフィはジャッキーから離れようとせず、ジャッキーは途方に暮れてしまう。
ナイロビへ向かう途中で、アンドルーがペットのカメレオンを放した。それを見たジャッキーは、マーフィをイギリスに連れて帰っていいのか迷うのだった。モンバサの港で一家はテンボと別れて船に乗り込むが…。
ブッシュベイビーを国外に持ち出すための許可証がようやくおりた。帰国の日、クランクショーは約束どおりにジャッキーを飛行機に乗せてくれた。初めて空から見るアフリカにジャッキーは胸を熱くするのだった。
急にイギリスへの帰国が決まったジャッキー達は、アフリカでの生活の記念にと、家族でキリマンジャロに登ることになった。ところが途中の町に、なんとあの時の密猟者たちがいた。驚くジャッキーだが…。
ケニアが独立して以来、イギリス人がしてきた仕事は少しずつケニア人に戻されていった。アーサーの保護官の仕事も例外ではない。一方、マーフィのえさを探しに出たジャッキーは、雨で増水した川に流されてしまう。
マーフィのいたずらは目に余るようになった。マーフィがめちゃくちゃにしてしまったモーリスさんの店の事でアーサーにきつく叱られたジャッキーは、マーフィの動きを制限させるためにチョッキを作ることにした。
ジャッキーはバオバブの前で、密猟団に出会う。思いがけずダンがジャッキーを逃がすが、追手はすぐに迫ってきた。ジャッキーを心配して駆けつけたクランクショーの車で危機を脱するが、密猟団は執拗に追って来た。
ダンへの疑いを拭えないジャッキーだが、今ひとつ密猟関与への決め手がなかった。前の日バオバブの木で磁石を落としたことに気がついたジャッキーは、マンダリンに乗って一人でサバンナへと出かけた。ところが…。
森でヒヒに襲われた興奮も冷めないまま、ジャッキー達はサバンナを進んだ。ジャッキーは改めて自然界にはマーフィの敵が多いことを知るのだった。その帰り道、巨大なバオバブの木を見つけるが、その時マーフィが…。
ようやくテンボの熱が下がった。ジャッキーはテンボの話に耳を傾けながら今更ながらにテンボに親しみを覚える。次の日曜日、ヘンリーを加えた4人の探偵団は、ピクニックを装いながらサバンナへ捜査に出かける。
ジャッキーたち探偵団はまずダンをおびき寄せる計画を立てるが、初めの計画はあえなく失敗。次の作戦は大人のヘンリーを仲間に加えることだった。ヘンリーはいつでも4人で行動することを条件に承知してくれた
ジャッキーたち探偵団が結成された矢先、テンボが密猟の疑いをかけられて警察に連れていかれてしまう。アーサーが警察に掛け合っても無駄だった。夜になってようやくテンボが釈放されたが、彼の姿は傷だらけだった
保護区で象が7頭も殺された。ジャッキーはアーサーに、ダンが怪しいと告げるが取り合って貰えない。そこでジャッキーは、ケイトとミッキーの3人で探偵団を結成し、密猟の調査に乗り出した。
ちょっとしたことが原因でジャッキーはミッキーとけんかしてしまった。その頃、修理屋のダンがジャッキーの家の備品の修理に来ていたが、彼は仕事をしながらアーサーのパトロール地域を探るようなそぶりをみせる。
いなくなったマーフィを探して大騒ぎをしているジャッキーの前に、見慣れない青年が現れた。マーフィは彼と一緒にいたようだ。その青年はイギリスからケイトの家を手伝いに来た、ケイトの叔父ヘンリーだった。
1カ月がすぎ、マーフィはすっかり成長してもう何でも食べられるようになった。ジャッキーは夜行性のマーフィを、昼間の生活に慣らす訓練を始める。そんな時、クランクショー博士が飛行機に乗って帰ってきた。
ハンナは泊まりこみでマーフィを診てくれた。マーフィを家に残していくのが心配だったジャッキーだが、両親に叱られしぶしぶ学校へ向かう。ハンナはナイロビへ帰る途中にもマーフィの様子を見に立ち寄ってくれた。
ケイトがケニアにひきつづき留まることになった。喜ぶジャッキーだったが、家に帰るとマーフィの様子がいつもと違っていた。ジャッキーは急いで父の事務所に向かい獣医のハンナを訪ねた。
夜行性のマーフィに手を焼くジャッキーは、少しずつ昼間の生活に慣らしていかなくてはと思うのだった。一方、近くの村に手負いの象が現われ村人を襲うという事件が起きる。止む終えず射殺することになるが…
マーフィの成長にしたがって、ミルクをスポイトで与えるだけでは間に合わなくなってきた。代わりの哺乳瓶を探しはじめるジャッキーだったが、それは予想以上に大変なことだった。
ようやくミルクを飲み始めたマーフィは少しずつ元気を取り戻した。その頃、アーサーは密猟によって手負いとなったサイを捕獲するべくパトロール中だった。テンボとアーサーは見事なチームプレイでサイを捕える。
ジャッキーは野生動物保護官の父や家族とアフリカのケニアで暮らしている元気な女の子。ある日、父がパトロール中に見つけたブッシュベイビーの赤ちゃんを、ジャッキーは私が育ててみせると引き受けてしまった。
ブッシュベイビーにマーフィと名付けて、懸命に育てるジャッキーだが、マーフィは日に日に弱っていく一方だった。ミルクも飲もうとしないマーフィを助けようと、ジャッキーは父の部下テンボに助けを求める。
■スタッフ
脚本:宮崎晃
音楽 :宮川彬良
キャラクターデザイン:関修一/加藤裕美
絵コンテ:鈴木孝義/加賀剛/中西伸彰/則座誠/楠葉宏三/斎藤博
作画監督:加藤裕美/細井信宏/伊藤広治/田中穣/鷲田敏弥
美術設定:伊藤主計
美術監督:森元茂
撮影監督:森田俊昭
音響監督:藤野貞義
色指定:小山明子/小酒井久代/諸澤千恵子
原画:石川哲也/朝戸澄子/大城勝/橋本聡子/ふるたしょうじ/三浦辰夫 ほか
プロデューサー:松土隆二/鈴木吉弘
監督:鈴木孝義
■キャスト
ジャッキー:岡本麻弥
アンドルー:金丸淳一
ペニー:滝沢久美子
アーサー:土師孝也
テンボ:小杉十郎太
ケイト:松下美由紀
ヘンリー:島田 敏
ハンナ:佐々木優子
クランクショウ博士:緒方賢一
ダン:佐藤正治
アトマニ:大塚芳忠
サフィナ:萩森徇子
ミッキー:松岡洋子
マーフィ:白鳥由里
(C)NIPPON ANIMATION CO.,LTD.